連載記事:新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記
11年前のタイムカプセルが空いた瞬間【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第1話】
現在小学5年生、11歳の娘は、かつて私にこんな風に言った。
「ママ、言っとくけど私、腐ってないから。ただ漫画の世界が好きなだけで、腐ってはいない。腐女子とオタクはまた違うから」
ところがその数ヶ月後、娘の主張にはわずかな変化の兆しが。
「正直ちょっと腐りかけてる……。ヒロインにがっかりさせられる度に、そんなことなら主人公はヒロインじゃなくてこっちのキャラとくっつけばいいじゃん、なんて考えちゃうし、それがたまたま男同士だったりする。……でも、まだかろうじて腐ってない、腐りかけだけど腐りきってない!」
聞いてもいないのにこういうことを言ってくるということは、もうだいぶ方向性が固まってきたな、と感じていると、ついに先日、観念した様子で娘が言った。
「ママ、もう認める。
私、腐った。腐ってる。腐女子になった。カップリングを想像せずにはいられない!」
念のために説明しておくと、ここで言うカップリングとは文字通りカップルになる二人という意味で、加えて説明すると腐女子とは、カップルが男性同士である可能性も排除せず、またときにはそちらの方を重視しながら、縦横無尽に想像力を働かせて物語を読み進める読者だ。
……そうか。ついにそのときが来たかと、深く感じ入るものがあった。