「保育参加」を体験してみた。「保育参加」とは保護者が1日限定で保育園での生活・保育士の役割を見学・体験できるシステム。春には引越先の保育園に転園予定なので、卒園までに体験しておきたいと思い、仕事をやり繰りして行ってみました。
朝9時に息子とともに登園、朝のあいさつから始まりその後の過ごし方は子どもに決めさせる。
最近インドア派の息子も父が来ているせいか高揚して「一緒に散歩行こう!」と誘ってきた。保護者が来ることにある程度慣れている子ども達は、矢継ぎ早に声を掛けてきて盛り上がっている。
息子のクラスは発熱で外に出られない子を除く14人で公園に出かけることになった。
2人1組で手をつないで公園まで(子どものペースで)20分ほど歩くコース。車が通る道は息子と2人で歩いていても危なっかしいのに、14人の子どもを保育士の先生3人(僕を除く)で引率する。
出発前からとても緊張感があり、先生は口調こそ優しいが真剣に子ども達に注意事項を伝える。
それでも子ども達は僕という異分子が気になってしまいチラ見しては笑っている。普段なら思いっきりリアクションしてあげたいところだけど「しっかり先生のお話聞こうね」と保育参加の身であることを肝に銘じた。
出発の際、まずは誰が誰と手をつなぐかでひともめ。僕は息子とAくんと3人ペアになった。
先生「出発!」子ども達「進行〜!」で園門から歩き出す。口々に「ベロベロバッ!ベ〜ロベロバッ!」と呪文を唱えながら街をねり歩く小さな部族。
先頭に立つ先生は進行方向に注意を向けさせるために常に子ども達に話しかける。
先生「今日は公園にカメさんいるかな〜?」
Aくん「いないでしょっ!(怒)前もいなかったでしょっ!」
Bくん「いないよね〜」
先生「そっか〜。じゃあ畑のおじさんいるかな〜?」
Aくん「いないよっ!ほら見て!ねっ!」
先生「う〜ん」
子どもに会話を広げようなんて気遣いがあるはずもなく、先生は必死で話題を振っていた。
子ども達は思い思いに散歩を楽しんでおり、「お前は砂漠の放浪者か」と言いたくなるようなだらしない歩き方で急にゆっくり両膝をついて止まり列を乱す子。
出発からずーっと律儀に「ベロベロバア」を連呼するストイックな子。ポスターを見つけては引っ掻く子。車(ジープ)のうんちくがあふれ出す子。バスの行き先に詳しい子。地蔵に話しかける子。猫を追いかける子…など目まぐるしい世界がそこにはあった。
先生はその一つ一つを見逃さず注意し統制を保っている。このようにバラバラな子ども達が車・自転車が通る度にピタッと歩みを止め「右見て〜左見て〜」と安全確認を繰り返す姿に先生方の努力を垣間見た。
たどり着いた公園で僕はただただ立ち尽くしているだけで、両手に抱えきれないほどの松ぼっくり、どんぐり、BB弾を手に入れることができた。14人の子ども達が人海戦術で公園に落ちているそれらを拾い集めてくるのだった。
そしてそのままの状態で今度は鬼ごっこ。頂いた品を放棄することは許されず、大荷物のまま走り回った。
その後、子ども達の中で流行っている遊びなのかどうかは謎のままだが、公園にあるはずの無い「人参」を探す旅に出ました。
「畑じゃないから人参はないよ〜」というセリフを気に入ってもらえたようで、子ども達はみんな笑い転げていた。