結婚や出産などでお祝いをもらったときの「お返し」として知られる「内祝い」。その本来の意味や、内祝いを贈るべきケース、時期、「のし」の書き方など基礎知識をまとめました。
気になる金額の相場や、メッセージの添え方についても詳しくご紹介します。基本のマナーをしっかりおさえて、失礼のないよう「内祝い」を贈りましょう。
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「内祝い」って? 「お返し」とはちがうの?
「内祝い=お祝いのお返し」だと思っていませんか? じつは内祝い本来の意味は、「お返し」ではありません。本来は「自分(の家)の祝いごとを記念して、親しい人(身内)にお祝いの品を配ること、もしくはその品物」という意味です。
ですから、たとえば結婚や出産などの場合、お祝いをもらっていなくても内祝いを贈ることがあります。
最近では「内祝い=お祝いのお返し」の意味で使われることも多くなっています。ただし本来は「お返し」ではないので、義務的な感じが出ないよう、あくまで「よろこびを分かち合うために贈る」ものだという前提をおさえておきましょう。
結婚、出産、入学……内祝いを贈るべきなのはどんなとき?
結婚や出産、入学や就職など、どの場合に内祝いを贈るべきなのでしょうか? ここでは「お返し」という意味で、内祝いを贈るべきケースについて解説します。
■結婚
披露宴にお招きして、そこでお渡しする「引き出物」がお返しとなります。そのため、基本的には披露宴にお招きすれば内祝いの品を贈る必要はありません。
ただし高額のご祝儀をもらった場合や、お祝いをもらったものの披露宴にお招きできなかった場合には、「結婚内祝い」として改めて贈りましょう。
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■出産
基本的には、お祝いをくれた人みんなに「出産内祝い」として贈ります。
■入園、入学、七五三など
親しい人や親族からの「子どもの成長についてのお祝い」には、基本的に品物でのお返しは不要です。
ただし、そこまで親しくない方からお祝いをもらった場合などには内祝いの品を贈ると丁寧です。
内祝いはいつ贈ればいいの?
内祝いは、お祝いをもらってから1ヶ月以内を目安に贈りましょう。
結婚や出産、入学などのイベント前後はご本人もご家族も何かと忙しいものですが、内祝いがあまり遅くなると失礼です。事前に品物や予算などの目安をつけておくといいでしょう。
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ただし、出産内祝いの場合は産後2ヶ月くらいまででも大丈夫です。というのも、生まれてくるまでママや赤ちゃんの健康状態、体調などはわからないもの。
母子ともに健康であったとしても、産後の生活はなかなか余裕がないものです。ママやご家族に無理のない範囲で準備しましょう。
内祝いの相場が知りたい!
内祝いはあまり安いものだと失礼ですが、高すぎるのもいけません。
高すぎると相手に気をつかわせてしまうだけでなく、人によっては「失礼だ」ととられることもあるからです。
特に年配の方は、高価すぎる内祝いに対してマイナスイメージをもつことが多いので、気をつけましょう。
内祝いの一般的な相場は、もらったお祝いの1/3~半額程度です。
ただし厳密に「半額」と考えると、高額なお祝いをもらった場合、内祝いとしては高すぎてしまうことも。たとえば結婚祝いとして伯父さんから10万円もらっても、さすがに5万円の内祝いは高価すぎます。
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そこは相手との関係や年齢差なども考慮して、臨機応変に判断してください。
特に身内の場合は、高価な品物よりも後でご紹介するような心のこもったメッセージやお祝いにちなんだ写真などが添えられているほうが、よろこばれることも多いようです。
迷ったらご両親やきょうだい、年上の先輩などに相談してみるといいでしょう。
内祝いの「のし」はどれが正解? 正しい書き方は?
内祝いを贈るときは「のし」をつけるのが一般的です。お祝い別に「のし」の種類や書き方を見ていきましょう。
■結婚
水引は紅白または金銀で、「結び切り」を選びましょう。「結び切り」には「二度と繰り返さないように(=一生添い遂げる)」という意味があります。
表書きは上に「寿」または「内祝」と書き、下に夫婦の新姓(結婚後の名字)のみ、または連名を書きます。連名の場合は、中央に夫のフルネームを書き、左に妻のファーストネームのみを書くのが一般的です。
ちなみに職場で旧姓を名乗り続ける場合などは、新姓やファーストネームだけだと誰からの内祝いなのかわからないことも。そういう場合は、宅配伝票や添えるメッセージに旧姓を書いておくと親切です。
■出産
水引は紅白の「蝶結び」です。「蝶結び」の水引は「何度繰り返してもいいお祝いごと」に使うので、一般的な慶事全般で使えます。
表書きは上に「内祝」と書き、下に赤ちゃんのファーストネームを書きます。読み仮名もふっておきましょう。
■入園、入学、七五三など
水引は紅白の「蝶結び」です。表書きは上に「内祝」と書き、下にお子さんの名前を書きます。一般的には、小学生くらいまではファーストネームのみを書き、中学生以上はフルネームを書くことが多いようです。
また、どのケースでも内祝いでは「内のし」が基本です。
包装紙の外側にかける「のし」を「外のし」、内側にかけるものを「内のし」といい、ひかえめに贈りものをするときは「内のし」が適しているとされています。地域によるちがいもあるようですが、内祝いは身内でのお祝いなので、ひかえめな「内のし」を選ぶのが一般的です。
無いと失礼? 内祝いは添えるメッセージも重要!
内祝いを贈るときは、品物だけでなく必ずメッセージも添えましょう。特に年配の方は挨拶状や手紙がついていないと「失礼だ」と感じることが多いので、気をつけてください。
メッセージの形式としては、丁寧な順に手書きの手紙、手書きのカード、印刷した手紙やカードなどがあります。
「堅苦しいお礼状は苦手」という方は、たとえば結婚内祝いなら新婚旅行先で買った絵葉書にメッセージを添える、出産内祝いなら赤ちゃんの写真を添える……などのひと工夫を。義務的な感じにならず、気持ちも伝わりやすいでしょう。
また、メッセージは「お礼の気持ちを伝える」という意識が大切です。「お返し」という言葉は縁起の悪い「忌み言葉」となりますし、義務的な印象になるので避けてください。
「幸せのおすそわけ」と考えて
内祝いはもともと「お返し」ではなく、身内の幸せを「おすそわけ」するもの。今回ご紹介した最低限のマナーをおさえて、相手も笑顔になるような内祝いを贈ってくださいね。