息子の神通力が久保田利伸を前に遺憾なく発揮された日【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第20話】
先日うちに、友人2人がご飯を食べにやってきた。美男美女かつ、ともに聡明な20代前半の男女。早めの時間からワインを開けて賑やかなおしゃべりを楽しんでいると、外出先から長男モーが帰宅。うちの息子です、ちわっす、という何気ない挨拶を皮切りに、学校の話、受験の話など、一しきり会話に花を咲かせたところで、モーがおもむろに尋ねる。
「……で、二人は付き合ってるんですか?」
えっ、と一瞬固まって、顔を見合わせる二人。こらこら息子よ、トレンディドラマでもあるまいし若い男女というだけで全員が全員付き合っているわけじゃないんだよ……と言いかけて、思わず口をつぐむ。
「……ん? どうかな、えっと、付き合ってる……の、かな……?」とか何とか、さっきまでの軽妙なトークはどこへやら、二人はいきなり口をもごもごさせ始めたのである。
「えっ、ええっ!? ……そ、そうなの!? 付き合ってたの??」
なんと付き合っていたのだ。
それぞれ、最初は別の場所で知り合った二人が、いつの間にやら繋がって、いつの間にやら付き合っていた。確かに仲良しだなと思ってはいたけれど、かといって、付き合っている気配はみじんも感じなかったので私は完全に仰天してしまった。二人が付き合っているという事実にも、会ってものの10分足らずでそこにぶちこんできたモーにも、だ。
どちらかといえば文科系で、オタク系な両親から生まれてきたモーは、そんなバックグラウンドにも関わらず目下順調にパリピとして成長している。念のため解説しておくとパリピというのは、賑やかなパーティーの場を好む人種、“パーティーピープル”の略称である。友達との時間が何より大事だし、ダンスミュージックばかり聴いているし、女の子と二人で出かけることも頻繁にある。いわゆる「ウェーイ」である。一見、思慮深さとは対局にいるかのように見える彼だが、幼い頃からふとしたタイミングで、何かが降りてきたように、神通力めいた力を発揮することがある。
あれはモーがまだ5~6歳のときのことだ。
春の、穏やかな休日。私たち一家は近所の公園に併設されているテラスカフェでお昼ご飯を食べていた。そこへ突然現れた一人の男性に、われわれの視線は自然と集中する。黒く焼けた肌にサングラスをかけ、長めの髪の毛を後ろの方で結んでいる。小柄な体つきながら、隠してもあふれ出るスターのオーラ。あの人絶対有名人だ、しかし誰、誰なんだ?! 謎のスターは奇しくも私たちの隣のテーブルに案内され、そわそわする私たちの耳はより一層ダンボに。そうしてついに男性が口を開いたその瞬間、一気に真実が判明した。
……く、久保田利伸!!!
艶やかでよく通る声、やや英語っぽい発音に侵食された日本語。思わずwanna make loveしたくなるその色黒の男性はそう、息が止まるくらいの甘い口づけを提案する、歌手の久保田利伸さんだったのだ。
スーパーモデル、ナオミ・キャンベルをもバックコーラスにはべらせる世界的シンガーの登場に、にわかに色めき立つ大人たち。(あれやっぱりそう?)(だよね?)と声にならない声を発しながら動揺を隠せない大人たちとは裏腹に、マイペースを崩さない幼児期の息子。
退屈したのか「ねえ~ママ、クイズしようよ、クイズ」とせっついてくる。しかし、こちらはLalala Love songで全然それどころじゃないので、受け取ったボールを即座に投げ返した。
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