連載記事:ママのプロになる!
普通の子がいいとされる時代…発達障害はむしろ特別な能力を持った人【ママのプロになる! Vol.5】
イラスト:平松昭子
毎日子育てに悩み、自分の子どもが「普通」になれないことに心を砕いているママがたくさんいます。「素人なのにプロ」を求められてしまうママ業。
そこで「どうしたら、ママのプロになれるのか?」を
木村 泰子先生にうかがいます。
<木村 泰子先生とは>
全国で多くの反響をよんだ不登校ゼロをめざした小学校のドキュメンタリー映画『みんなの学校』で初代校長を務める。普通の子と発達障害の子どもを「普通に育てる」ことに悩み続けた3人の子持ちであるライター楢戸ひかるが、木村先生と子育てについて話をします。
木村先生が教えてくれる「ママたちに伝えたい20のこと」とは?
■「枠からハミでる子」は、普通のママには異質なのか!?
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「枠からハミ出てしまう子(発達障害)」と「普通の子」を
一緒の教室で学ぶことは、はたして本当に良いことなのでしょうか。大人が出す「あの子がいると迷惑」という空気を吸ってしまっている子は、めちゃくちゃ不幸だと木村先生は話します。
木村:「枠からハミでた子」と「普通の子」が一緒に育つ良さについて理解するために、『みんなの学校』という映画が存在していると思うの。
静かな環境で勉強してつく力と、いつも誰かが動きまわる環境の中、勉強してつく力。どちらの方が、より高い力がつくかを、ママさんたちに問いかけてみたらどう答えると思いますか?
楢戸:おそらくいつも誰かが動き回っている
うるさい環境で勉強したほうがより高い力がつくと答えると思います。
木村:誰が考えても、そういうふうにわかるわけですよね。それだけではダメなの?
楢戸:そういったことを、多くのママたちにどうやって伝えていけばよいのだろうか? と考えています。わが家の場合で言うと、長男は品行方正な普通の子で、次男が発達障害なんです。
■「まともな子ども」を評価する社会
木村:そうやって、
比較されてしまう子どもが不幸なんよ! あなたの次男は、二次障害(被害)、三次障害(被害)を受けているんじゃないかと心配になります。
楢戸:でも、普通の子(定型発達の子)と、枠からハミ出た子(発達障害の子)は、「生き物として違うんじゃないか」と思いたくなるときがあるんです。これは実際に育ててみての実感です。
木村:本人たちにしか、「自分が
まとも」なんてわからないの。いまの世の中は、長男が評価される社会であるっていうだけの話。
楢戸:長男は、「俺は、次男みたいなものをもっていないから、次男とずっと暮らしたい」と言っています。長男は、次男のことを、すごく評価しています。