連載記事:『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方
マニュアル子育ては見抜かれる! 大人の論理「あなたのため」は通じない【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第3回】
いまの学校教育が抱えた問題によって、学校に通えなくなってしまう子どもがいるという現実。そんな現実に、ごく普通の公立小学校が
「不登校0」を実現して、世間に衝撃を与えました。その模様はドキュメンタリー映画
『みんなの学校』で描かれ、現在でも自主上映会が全国で開催されています。
その学校の初代校長を務めた
木村泰子先生。マニュアルを見ながら、子どもに関わろうとする大人を、子どもは信用しないといいきります。そんな中、子育て中のママの「あるある」ネタにも、木村先生は「ママが
マニュアルで考えている」と、厳しい言葉がかけられました。
※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。
© Norman01 - Fotolia.com
■どうしてもマニュアルを探してしまう大人
木村:「子どもに関わるとき、
『過保護や過干渉』なのか? それとも『教育』なのか?」がわからなくなってしまったとき。それは、「自分が大人として目の前にいる子どもに、どう関われば良いのか?」を迷っているときです。そういうとき、大人は、何かしらの
マニュアルを見ながら判断しようとします。
大人がマニュアルを探しながら、「どっちかな?」といった態度で関わると、子どもは信用してくれません。マニュアルを見ないで、「
目の前の子どもだけを見て関わろう」とする大人の態度は、子どもにもちゃんと伝わります。
もちろん、結果として「やっぱり、あなたに対して過保護、過干渉だった」と反省することもあるでしょう。でも、その反省は、すべて
未来につながります。「あなたに対して過保護、過干渉だった。
ごめんなさい」と、きちんと謝ることができる大人が、子どもは大好きです
■子どもの気持ちまでマニュアルで見ている
© Creativa Images - Fotolia.com
木村:ここで大切なのは、子どもと関わるときに、「マニュアルを見ないで、目の前の子どもだけ見て関わろう」と自分で決めることです。
参加者:子どもは「イヤだ!」としか表現できないとしても、そこにある気持ち、モヤモヤしている気持ち、そういうものを、
大人が感じてあげるということですか?
木村:それは、大人の嗜みですね。子どもに関わるときに、大切なのは「教えること」ではないんです。その子の心の中をわかろうと努力する。それが、大人の嗜みです。
参加者:たとえば、お友だちと一緒のとき、うちの子がわがままを言ったとします。「わが子の心の中をわかろうとする」という行為は、そのとき、その場で、お友だちがいる前でした方が良いのでしょうか? それとも家に帰ってきてから、ゆっくりした方が良いのでしょうか?
木村:そう考えてしまうこと自体、マニュアルを見ようとしているのかもしれませんね。
キツい言い方かもしれませんが、「みんなの中でやった方が良いのだろうか? それとも家に帰ってきてからの方が良いのだろうか?」と考えるのは、その子だけを見ていない行為です。
その場、その場、
その子、その子によって、状況はすべて違います。