連載記事:『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方
マニュアル子育ては見抜かれる! 大人の論理「あなたのため」は通じない【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第3回】
■大人は、成功を狙って子どもに関わろうとする
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木村:「友だちの前で注意したことを後悔した」と思うことも、絶対あるでしょう。そんなことは、誰にでも絶対にある。でも、失敗したら、
やり直せばいいんです(※)。
子どもに、「ごめんね、みんなの前で言わない方が良かったね」と言えば、子どもは「いーよ、別に」と言ってくれるかもしれない。けれども、「あなたが間違ったことをするのを、
注意してあげたんだから!」という気持ちでいたら、子どもは、心を開くことはないでしょう。「絶対、もう俺の気持ちなんて言わない」と思います。
子どもが間違ったことをしたときに、大人は、「もう二度と失敗が起こらないためにどうしたらよいか?」を、自分(
大人側の論理)で考えて「これが上手くいく方法よ」というものを提示しようとします。
でも、本当のところを言えば、親は、「(提示した方法が)成功する可能性なんて、
100%ない」と思っておいた方が良いくらいの話なのです。
※やり直し:木村先生の教育観の大きな柱のひとつ。「人が生きていれば、必ず間違いは起こる。そのときに素直に謝って、やり直せばいい」と、木村先生。
■「大人サイドの価値観」で物事を考えないようにするには
参加者:「100%ない」というのは、1%すらないってことですか?
木村:そうですね(笑)。「うまくいったら、めっけもん」くらいの気持ちで、子どもと関わるということです。そう思って、関わらないと、うまくいかなかったときの落ち込みも激しくなってしまう。大人に勝手に関わられて、勝手に落ち込まれていたら、子どもは、やっていられませんよね。
親も教員も、よっぽど気をつけていないと、常に
「大人サイドの価値観」で考えてしまうものなのです。
私も相当なダメ教員でしたが、子どもたちにズタズタに鍛えてもらったことで、随分と変えてもらいました。
子どもとの関わりを、大人サイドで考えない。これを実行できるようになるには、ある一定の訓練と、失敗経験が必要だと思います。
【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】
●大人が目の前の子どもをマニュアルで判断しようとすると、子どもにも伝わる
●大人も絶対間違う。でも間違ったときに謝る大人を子どもは大好きだ
●叱って二度とトラブルが起きないという「成功」を狙って子どもに関わっても、100%成功しない
●大人サイドの価値観で物事を考えないためには訓練が必要
次回は、「自分を表現すると嫌われる学校の現実。守りに入る教員をどう変える?」です。
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