■思い通りにいかないのが菌の魅力 失敗も楽しんでしまおう!
本著で紹介している発酵食品は、比較的簡単にできる
ヨーグルトから少しレベルの高い
麹まで、難易度もさまざまです。しかし、学年や年齢の設定はとくにないそうです。
「年齢で区切るよりも、子ども一人ひとりが持つ
好奇心の度合いによってできる範囲が変わってくるからです。それから、親の関わり方も大きい。発酵が進む過程で見た目や匂いが変わると、不安になる子どももいます。親が『それでいいんだよ』と声をかけて一緒におもしろがってくれると、子どもも先に進める。親と楽しみながらだと、5歳くらいでも難易度の高い味噌づくりに挑戦できるんですよ」
本著で紹介する味噌は、夏休み中に完成できるように麹を多めに使ったアレンジレシピ。仕込みから40日で完成します。
手前味噌を使ってお味噌汁をつくれば、嫌いな野菜も食べてくれるかも?
「食べ物を自分でつくることって大事ですよね。現在、絶賛イヤイヤ期で汁物を拒否している僕の娘も、一緒につくったスープならたくさん食べてくれる。発酵食品は
最高の食育になるんじゃないかな」
菌をうまく育てられるか、ばい菌にしてしまうかのカギを握るのが
温度管理。夏は、発酵商品を仕込むのに適した季節だとヒラクさんはいいます。
「菌が元気になるのは、
30℃前後の温度です。冬場に仕込んだら4、5日くらいかかるヨーグルトも、真夏なら翌日にできます。一方、放置しすぎると腐ってしまうので、本に書かれた時間を守ってつくってくださいね」
直射日光の当たる場所やジメジメした場所には置かないことも腐らせないためのポイントです。ヒラクさんのオススメは、オープンシェルフや本棚の一番上の段。
風通しがよく、空気がよどんでいない場所を
「発酵棚」にするといいそうです。
とはいえ、生きている菌が人間の思い通りになるとは限りません。ときには菌がうまく育たずに腐ってしまうこともあります。
「失敗も失敗で楽しいんですよ。発酵がうまくいかないと、臭くなったり、ドロドロしてしまったりするけど、子どもは『くせえ!』とかいいながら意外とよろこんでいる。僕のワークショップでも、失敗すると逆に盛り上がることもあるくらいです」
「食べ物がくさるとはどういうことなのか」「失敗から発見できることもある」など、事前に本を読み失敗したときの対処法を親が把握しておくことも大切です。見えない生き物との生活を親子で楽しめれば、うまくいっても失敗しても学びの多い自由研究になりそうです。
目に見えない菌たちの働きを実感できる発酵食品づくり、ぜひ親子で観察してみませんか?
\発酵って楽しそう! と興味が湧いた方に、ぴったりのイベントが開催/
夏休み!歌って踊る手前みそ
〜『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』出版記念イベント〜
『発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』の出版を記念して、小倉ヒラクさんがイベントを開催! はじめての人でもカンタンにできる手前味噌づくりをはじめ、オリジナルアニメ『てまえみそのうた』を使ったダンスワークショップ、発酵レクチャーなど、盛りだくさん! 夏休みの自由研究に、思い出に、ぜひ親子で参加してみませんか。
日時:2017年8月11日(金) 10:00開場 10:30スタート
料金:¥3,500(手前みそキット1kg付き)
詳細ページ:
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/69966
小倉ヒラク プロフィール
1983年東京生まれ。発酵デザイナー。自身の体調不良を機に発酵食品に出会い、東京農業大学の醸造学科研究生として醸造学を学ぶ。全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本、アニメの制作やワークショップを行うと同時に、自由大学や桜美林大学等の一般講座で発酵学の講師もつとめる。
著書に、「てまえみそのうた」「おうちでかんたん こうじづくり」(農山漁村文化協会)、「発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ」(木楽舎)。一児の父でもある。
http://hirakuogura.com/
夏休みの自由研究・宿題サポート2017