「ママには秘密がいい」と言った理由は? 見えないところで頑張る子どもたち
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保育園や幼稚園のお迎えのときに「今日とっても頑張っていましたよ」なんて先生に言われることはありませんか? しかし、親からするとどんな風に頑張っていたのか、具体的に理解するのって難しいですよね。
保育園や幼稚園にいるあいだ、子どもたちがどんな風に過ごしているのか親は知りたくても知るのは難しもの。こっそり1日眺めているわけにも、監視カメラでずっと見ていることもできません。
■「ママには秘密がいい」そういった子どもの真意
以前こんなことがありました。途中入園で入ってきた5歳の女の子が、初めて登園した日のことでした。言葉も達者でお友だちと協力して遊ぶことも、お友だちの様子を見ながら動くこともできます。
夕方、ちらほらお迎えにくるお母さんたちが見えはじめるとそわそわし始めました。「おトイレに行きたいの?」と声をかけると「おりがみがしたい」と言うので一緒に折り紙をすることに。
「犬を折りたいからお手伝いして」と言うのでしっかりと折り目をつけるところや、端と端をくっつけるところを手伝いました。しかし、その間「あのさー今日何食べるの?」「あそこの時計の色変だね」「なんか靴下が変な色だね」などの発言が増え、集中力が散漫になっているようでした。
折り紙を4種類折り終えて、満足したので「できたものをリュックにいれようか」と一緒にロッカーへ行きました。ロッカーからリュックを取り出してチャックを開けると、中のものが勢い置く飛び出してきました。
「あーもう一回しまわなくちゃ」と言いながら中からでてきたお弁当箱や手帳をしまう女の子。無造作に入れていくのでチャックは締まりません。「あーしまらないよ…どうしよう…できるできる」と独り言をいいながらチャックと戦っています。
私は基本的に子どもが自ら助けを求められないと動かないようにしているので、じっと見守っていました。
すると「先生、私困っています」と助けを求めてくれたので「わかったお手伝いするね。困っていることを教えてくれてありがとう」と話しリュックの中身を整理してチェックを締められるようにしました。
「これで大丈夫だから、最後の仕上げにチャックを締めてね」と言うと、チャックを握ると「先生の靴下変だね」とまた関係ないことを言いだしました。
何度も言われるほど変な靴下を履いているわけではないので「変じゃないよ、ユニクロだよ」と返すと「はーユニクロか…変だよ…変なの!! うわぁああん! ママに会いたいぃいいいいいい!!!」と泣き出しました。
そのとき、折り紙を折っている途中に、関係の無いことを話し続けていたのはお母さんに会いたい気持ちを抑えていたからだと気が付きました。
私は彼女を膝にのせて「そうだよね、ママに会いたいよね。気づいてあげられなくてごめんね。でも、ちゃんと教えてくれてありがとう」と声をかけました。
「ママに会いたいの我慢してたんだけど、もう無理だああああ」と声をあげて泣く女の子「そっか、そっか〜我慢してたんだね。大丈夫だよ、ちゃんと教えてくれて嬉しいよ」。
たくさん泣いて落ち着いたころ、小さな声で「ママに会いたくて泣いたの、秘密がいい」と神妙な顔をして言いました。「わかった、じゃあこれは私と2人だけの秘密ね」と話したのです。