子供の枕はいつから必要?「枕外来」の医師が明快解答!
すやすや寝ているわが子の寝顔をみて、ふと「そろそろ枕が必要かなあ」と思った私。寝るときは枕をしていても、朝にはどこかへふっとんでいるはず…と思い、これまで枕導入のタイミングがつかめずにいました。
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そもそも枕って、何歳から必要なのでしょう? そこで今回は枕が必要な理由、導入のタイミング、枕選びのポイントについて、枕の専門家にお話をうかがいました。
■そもそも、枕はどうして必要なの?
今回、お話をうかがったのは、2002年から「枕外来」を開設し診察を続ける16号整形外科院長の山田朱織先生。大学との共同研究で睡眠の基礎となる研究を続けてきた枕のスペシャリストです。
―― 先生、そもそも枕ってどうして必要なんですか?
「直立歩行をする人間には、約4~6kgの頭の重さが首にかかっています。首を真に休められるのは横になって寝ているときだけ。適切な条件で首を休められる状態にするために、枕が必要なのです」
―― 私、たまにちゃんと寝たのに首や肩が痛かったり、朝から頭がガンガンしたりします。「適切な条件」で、ちゃんと首を休めていなかったからなんでしょうか。
「例えば、交通事故のむち打ち症や、頚椎椎間板ヘルニアなど、首の病気の整形外科に入院する患者さんにとって、適切な枕は重要な治療となります。一般の方でも、朝起きると肩がこっている、頭痛がする、手がしびれる、夜中に下になった肩が痛くて目が覚める、夜中寝心地が悪く枕をはずす…といった経験がある人もいますよね。
これらは、合っていない枕で寝ていることが原因という可能性が高いんです。枕なしで寝るのはおすすめできません。適切な枕は肩こり、首こり、腰痛、手のしびれ、不眠、無呼吸やいびきの改善につながると考えています」
■子どもの枕、いつから使うのが正しいの?
―― 私の使っている枕は、残念ながら「不適切な枕」の可能性が高そうですね(泣)。私の息子は今8歳で、まだ枕を使っていないのですが、いつ頃から使い始めるのが理想的ですか?
「少なくとも小学校低学年から必要と考えています。それは寝相が悪く、体に負担をかけて寝ているケースが多いからです。
整形外科的には運動器といって骨、関節、筋肉などが大人に近づいていく時期であり、逆にいうと身体の柔軟性は徐々に低下していきます。つまり寝ている間に負担をかけることで大人同様の症状が出現します。逆に小学校低学年までは身体の柔軟性が非常に高く、枕がなくても体動(寝返りを含めた体の動き)が頻繁なので、枕は必要ないでしょう。
通院する患者さんのなかには、小学生のお子さんもいます。そのお子さんは吐き気がするほどの肩こりで通学が困難でしたが、正しい枕の指導で吐き気が改善し、通学ができるようになりました。
また、寝相が悪く、毎夜毎夜、就寝中にお父さん・お母さんをけってしまう兄弟がいました。それが、正しい枕で寝てもらったら、枕の上で寝返りはしても「布団から落ちる」「180度回転する」といった昨夜までの大暴れがなくなったのです。
これは、あくまで一例ですが、このようなことは大人でもあります。
寝相が悪いとおっしゃる方について正しい枕を指導すると、枕の上で寝返りをしながら、きれいに寝られるようになります」
―― うちの息子も寝るときは頭が上だったのに、翌朝は反対の姿勢になってます。正しい枕を使うと、寝る姿勢が改善されることもあるんですね!