ファーストシューズの選び方をプロが解説! 大切なのは「足の特徴を知る」
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足を形成している時期の靴選びはとても大切。しかし、大人でも自分の足に合った靴選びに苦労しているのに、小さな子どもは自分で合うか合わないかを判断できないので、靴選びは難しいですね。
子どもにはどんな靴を履かせるのがいいのか、子ども靴のプロ、シューフィッターの寺杣敦行さんに足の健康を踏まえながらお話をうかがいました。
お話をうかがったのは…
かかりつけシューフィッターの子ども靴専門店 ジェンティーレ東京代表
寺杣敦行さん
FHA(足と靴と健康協議会)認定バチェラー(上級)シューフィッター、幼児子ども専門シューフィッター。革靴好きか高じて靴メーカーに勤務。娘にはかせたいと思う子ども靴が日本では見つからず、ヨーロッパへ探しに行ったのをきっかけに、2008年に子ども靴の専門店をオープン。足の健康を重視し、機能性を第一に考えた子ども靴を、足の特徴や歩き方をチェックしながら調整して販売している。
・かかりつけシューフィッターの子ども靴専門店 ジェンティーレ東京
■子どもの足「特徴を知ったうえで靴を選ぼう」
――正しい靴選びが足に良い理由は何ですか?
寺杣敦行さん(以下、寺杣さん):足の中でも、足首から下の部分の耐用年数はどれくらいだと思いますか? 一生もつものだと思っているのではないでしょうか。実は、およそ4、50年といわれています。
足首から下の部分には片方だけで骨が28個ついていて、それがじん帯でつながっています。足は体を支える土台になるので、立ち上がって歩いている時の骨の配列を、いかに正しく長い時間保てるかにかかってくるんですね。
元気なお年寄りで歩いている方がいますが、誰もが90、100歳まで自分の足で歩けるわけではないんですよ。
右足のかかと側から見た骨格模型。すねの骨からかかとの骨までをまっすぐな配列に保てるかが生涯にわたって歩けるかどうかのポイント
靴は、足の健康を保ち骨の配列をくずさないためには大事なもののひとつです。足の骨の配列が全身の骨のバランスにつながっているので、例えば足首が内側にずれてしまうと、すべてに影響してしまいます。健康に自分の足で長く歩くには、日常生活を通して筋力をつけながら骨の配列を守っていくことにつきます。
そのための靴の役割は50%くらい。もう半分は先天的、遺伝的な体の性質と、後天的な日常生活による影響に気をつけることですね。
――正しい靴選びが健康に大きく関係しているのですね。
寺杣さん:正しいサイズと足の形に近い木型の靴をはけば、立った時にまっすぐな姿勢になります。まっすぐな姿勢=まっすぐな骨の配列となり、正しい歩き方と体重移動ができるので、体に負担がかかりません。すると、足の骨の配列が整って成長できるのです。
――サイズだけではなく、木型も重要なのですか?
寺杣さん:写真のファーストシューズ2足は、デザインとサイズは同じなのですが、木型が違います。靴を作る時は必ず木型を作って、これを革などの素材でくるみますが、右は標準からやや幅広の子まではけるもので、左は足幅が細い子向けです。
まず、お子さんの足の特徴を知ったうえで、その特徴になるべく近い形の木型の靴(靴の形)を選ぶのが最大のポイントです。どんなに足に良い靴と宣伝されていても、足の特徴と靴の形が合っていなければ、将来、足のトラブルの原因を作ってしまう可能性があるんです。
左はスリム、右は標準の木型で作ったファストシューズ(写真提供:ジェンティーレ東京)
私の店ではこのように幅や甲の厚みの違うものをいくつか用意して、初めて来たお客さんに対応できるようにしています。
しかし、ファーストシューズはひとつの型しかないというメーカーさんもあります。ひとつの木型でさまざまな足の形の子に売っているというのが、今の業界の現状なんです。