書く力を育てるために大切なのは、子ども自身に「自分が肯定されている」という感覚を味あわせてあげること。そう教えてくれたのは、花まる学習会の竹谷和(たけたにかず)さん。子どもの心に寄り添いながら「書く力」を育ててきました。
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今回は、ついつい親がやってしまう「書く力」を育てるために「やってはいけないこと」、反対に、親が「書く力」を育てるために「やってあげたいこと」についてお話しを伺います。
■やってはいけないこと その1.
言葉を先に引き取る
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「これは、いわば、『わが子が
言葉を発するのを待ってあげられない』ということです」(竹谷さん)。「はい。それは私です!」と、思わず取材中に挙手してしまいました(笑) たとえば、こんな日常会話をしていませんか?
子:「えっと、もってくの忘れちゃった」
母:「カバンにすぐにしまわないからから連絡帳を忘れちゃったんでしょう?」
子どもの言葉には、「何を」「どうして」が抜けているのに、それを指摘せず、補足しきった質問で「確認」だけをしてしまっている…。「こういう会話が日常的になると、子どもから
『自分で最後まで意思を伝えきる』という機会を奪うことになってしまいます」(竹谷さん)
普段の会話を、親が「引き取り(補足)」続けている子にとって、「作文を、
『自分で終わらせる』こと」は、とても難しい事柄に感じるそう。そういう子は、ダラダラ何十行も一文を書いてしまったり、普段の会話を完結させられないこともあるそうです。
「作文を終わらせるためには、言葉を探さなければなりません。子どもが区切りのつけ方を経験できるようにしてあげてください。『いつも必ず』は難しいかもしれませんが、できるだけ最後まで子どもに会話を締めくくらせましょう」(竹谷さん)
■やってはいけないこと その2.
ほめ「過ぎる」
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「作文で危ないのは、
『評価』です。
これが、じつは一番の落とし穴だとすら思います。評価されすぎると、『人のために書く』作文になってしまいがちなのです」(竹谷さん)
書きたいことを、手を抜かずに、書く。これが大事で、同時に難しいところでもあります。本当は、ただ楽しくてクレヨンを動かして描いた絵と同じように、自分が書きたくて書くこと。
書く動機は「外の誰か」ではなく「内なる自分」にある、という感覚。「褒められること=成功体験」が本当に大事であるということには、疑う余地がありません。けれども、過剰にほめすぎて、評価という軸がないと書けないというような、見返りをもとめて書くような子にはしたくないですね。
そのために親ができることは、何なのでしょうか? 「お子さんが書いたものについて、『すごいね』『上手だね』だけでなく、『この言葉選びがいいね』「ここからここまでが読んでいて、一番ひきこまれたよ」など、
具体的に、ご自身がいいと感じたことを言葉にして伝えてあげてください」(竹谷さん)
日常生活の中で、何気なくやっていることが、じつは「やってはいけないこと」だった…。
指摘を受けて、「ハッ!」としましたが、「そこを、気をつけよう!」と思うキッカケになりました。
今度は、「やってあげたいこと」を教えていただきます。