連載記事:イクメン脳研究者が教える“脳から考える子育て”
子どもの人見知り「気になるのはどうして?」帰省先で泣かない奥の手【イクメン脳研究者が教える“脳から考える子育て” 第7回】
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早い子で生後半年頃から始まるといわれる、人見知り。ママ以外の大人に話しかけられるとじーっと相手を見つめたり、泣いたり。初めて行く児童館で場所見知りをしてしまってママもあせってしまう…なんていうことも。
その一方で、人見知りをあまりしない子もいますよね。その違いは、どこにあるのでしょうか? 人見知りや場所見知りをなるべく減らす方法はあるのでしょうか? 脳研究者でご自身も子育て中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。
池谷裕二先生 プロフィール
研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。
■子どもの人見知り「初めて会う人をこわがるのは当たり前!?」
―― 今回のテーマは「人見知り」についてです。そもそも、なぜ人見知りをするのでしょうか?
池谷裕二先生(以下、池谷先生):子どもに限ったことではなく、大人にもいえることなのですが、初めて見るモノ、会う人に不安を抱くことってありますよね。
逆に、見慣れているものに好感を抱く傾向があり、専門用語で「単純接触効果」といいます。
生物学的に見て、初めて見るものには不安を感じ、初めてではないものには安心できる要素を感じる(=生命を奪われない可能性がある)と考えるのは、生物がサバイバルするために必要な心理です。ごく当たり前のことなんです。
―― 確かに、大人でも初対面の人に対して構える部分はあります。
池谷先生:そうですね。大人は社会などで社交性が要求される場面に遭遇すると多少なりとも人見知りが修正されるのですが、赤ちゃんにはまだありませんからね。
■人見知りする子は「空気を読めている?」
―― 人見知りは赤ちゃんの発達に必要なことだと聞きます。
池谷先生: 人見知りや場所見知りをする行為そのものが、場所をわきまえている「知性の表れ」といえますね。
家と外は違う場所、違う世界だという認知力が身についてきています。「ふだんと違う場所や人」「ふだんと違う雰囲気」だから不安に思う、なんかイヤだなと察知できるのは素晴らしいことです。
―― 成長しているんですね。
池谷先生: 程度に個人差はありますが、人見知りをする子はある意味、「場の空気を読めている」ともいえますよね。幼児になって、お遊戯会などで極度に緊張してセリフを言う声がものすごく小さいというのも同じこと。だからあまり気にしないでいいと思いますよ。