ⓒhiroshiteshigawara-stock.adobe.com
きょうだいの形はそれぞれ。長子、中間子、末っ子といった位置づけには多くの人が見るイメージがあるものですね。
例えば、長子は弟や妹など下の子の面倒を見る機会が多そうだから「しっかりもの」、反対に末っ子は上の兄姉たちにくっついてまわる「甘えんぼ」など、多くの人が想像する共通のイメージがあるものではないでしょうか。
一方、きょうだいのいない
1人っ子のイメージもさまざまにありますが、
「かわいそう」と思われたり、言われたりすることが多いように感じます。では、なぜ1人っ子だとかわいそうというイメージを持たれやすいのでしょうか?
今回は
1人っ子について抱かれがちなイメージとその実態について考えていきましょう。
■1人っ子が言われがちな「もやもやワード」は?
1人っ子というと、どんなイメージがわきますか? よく耳にするのが
「わがまま」「自己中」「マイペース」といったイメージです。
あまり良いイメージの言葉ではないせいか「かわいそう」という言葉がよく上がるのかもしれません。きょうだいがいる子と比べ、なぜ 1 人っ子だと「かわいそう」と思われてしまうのでしょうか?
それはおそらく「子どもは多ければ多いほど良い」という昔からの
「多産が良し」とされてきた考え方が残っているからでしょう。
家族は少ないより多いほうが良いに決まっている。そんな古い考えをずっと持ち続けている人が「かわいそう」という発想に行き着くのかもしれません。
実際、1人っ子に対して「かわいそう」という言葉をかけるのは、 50 代以上の年配者が多いように私も感じています。
また、将来きょうだいがいないと周りに
身寄りがいなくなるので心配…といった思いもあるのでしょう。子ども自身のことを気づかう気持ちから出た「かわいそう」である可能性もあります。
医者であり、ウィーンで教育改革に従事し児童相談所を設けるなど、子どもの精神成長に関心の高かった心理学者のアルフレッド・アドラー。
日本では「嫌われる勇気」(岸見一郎著)で紹介されたことでも有名ですが、この中で「アドラーは1人っ子家庭について、 1人しか子どもが持てない経済背景があり、親がその自分の状況にビクビクしていて、子ども本人ではなく親自身のそうした状況が1 人っ子の成長に影響を及ぼしていると考えていた」とあります。
確かに、アドラーがそう考えていた20世紀初頭は、 1 人っ子となった背景は貧困と深く結びつき、「かわいそう」と思われていた部分があったのかもしれません。
しかし、今は昔と状況が大きく異なります。
考え方も生き方も多様で、必ずしも「1人っ子=かわいそう」ではありません。
■1人っ子の子育て「メリット・デメリット」
イメージされがちな「わがまま」「自己中」「マイペース」といった特性は、本当に 1 人っ子に当てはまるのでしょうか?
実際、 1 人っ子は親の
愛情を 1 人占めできるので、わがままや自己中心的になりがちではあります。きょうだいがいないことで、多少のわがままは許してしまっているかも…と振り返る1人っ子ママも少なくないでしょう。
親の立場から見ても、子どもが 1 人だけだと、気持ちも注意も集中してしまいがちです。親自身が気をつけていても、ついつい子どもの生活に
必要以上に干渉してしまう恐れもあるでしょう。
こういったデメリットもある一方で、 1 人っ子だからこその大きなメリットがあるのも確かです。そのひとつに、
「自己理解が深まる」ということが上げられるでしょう。
1人っ子はふだん、同世代で会話する相手が近くにいません。すると、自然に自分自身と対話する機会が増えます。お人形ごっこも絵を描くのも常に 1 人なので、自分のなかだけで像をつくったり、さまざまな役を演じ分けたりします。
そうした遊びを通じて、
自分がどう感じなにを考えているかが理解しやすくなるのです。このように1人っ子は自己理解を深めやすくなるだけでなく、創造力、想像力といった力も養われていくといえるでしょう。