連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典

受動喫煙問題… 「外で吸う・換気扇の下で吸う」は問題アリ!【医師監修】<パパ小児科医の子ども健康事典 第5話>


やめられない理由はコカインやヘロインに次ぐ依存性

禁煙することは健康面のほか金銭面などでもメリットが大きいため、タバコを吸う人のうちおよそ3割が禁煙したいと考えていますが※5、それでもなお禁煙できないのはなぜでしょうか?

それはタバコ(ニコチン)には「依存性」があるからです。依存性とはタバコがなくなるとイライラしたり落ち着かないなど離脱症状の出やすさのことで、麻薬であるコカインやヘロインに次ぐ強力なものです。※6

そのため、自力で禁煙することは極めて難しく、たとえ禁煙できなくても必ずしも本人がだらしないからというわけではありません。


子どものため、自分のため、どうしたら禁煙できる?

タバコの害がどれだけ子どもにとっても悪いものか分かったとしても、禁煙できない方たちがいるのは確かです。

紙巻きタバコから加熱式タバコに変更したら、少なくともそこには受動喫煙を気にしている「芽」のようなものあるという見方もあります。責め立てて芽を潰してしまうよりは、その芽に水を与えて育て、加熱式タバコもいずれやめることができるようにサポートが必要です。

周囲のサポートを得るには、医療機関で開設されている禁煙外来を受診するのが一番の近道です。家族より第三者の意見のほうが受け入れやすい場合もあり、専門家のアドバイスや治療を受けることができます。

ニコチンを急に切ると離脱症状がでますから、段階的に減量するために禁煙治療薬が用いられます。禁煙外来は全国で1万6000施設以上にあり治療が可能で、中には土日に受診できる禁煙外来やオンライン診療もあります。※7 

家族に喫煙者がいると、子どもがタバコを吸い始める可能性が上がります。
家族の喫煙は連鎖するため、禁煙をすることはいま子どもへの健康への悪影響を減らすことができるだけでなく、将来的に子どもや孫の世代がタバコを吸う可能性を減らすこともできます。

以前、私が医学生のころ出会った、タバコが原因となる慢性の肺障害の肺気腫であろう男性のことをコラムに書いたのですが、この方も病気を患っているであろうにも関わらず、タバコがやめられない様子でした。

喫煙の連鎖を断ち切るという財産を子ども達や孫、その次の世代にまで残す、この記事を一つのきっかけにしていただけたら幸いです。


参考資料
※1 命を落とすこともある!子どもの誤飲事故 <独立行政法人国民生活センター>
※2 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会
※3How should parents protect their children from environmental tobacco-smoke exposure in the home? <家庭内の環境たばこ煙曝露から両親を守るにはどうすればよいですか?

※4 Heated tobacco products (HTPs) information sheet<加熱タバコ製品(HTP)インフォメーションシート>
※5 平成 28 年 国民健康・栄養調査結果の概要 <3.禁煙意思の有無の状況>
※6 タバコは薬物である<日本禁煙学会>
※7 禁煙治療に保険が使える医療機関情報最新版

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