連載記事:あなたは大丈夫? 話し方で得する人・損する人
察しない夫「生かすも殺すも“伝え方”次第」【あなたは大丈夫? 話し方で得する人・損する人 第1回】
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夫から言われた言葉に「カチン」ときたことはありませんか? 逆に、自分が発したなにげない一言に夫がイライラ。そんな最悪な状況、子育て中のママなら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
新婚当初はラブラブで、夫とはなにを話しても楽しかったのに、出産を機に、話題は子どもの話が中心に。仕事や育児に追われていると、気づけば夫との会話は乏しくなり、夫婦仲も冷めてしまい…と、負のループにおちいってしまうことはよくあります。
一番近い存在だからこそ、本当はケンカなんてしたくないのに…。夫との良好な関係を保つための“ヒント”を、
『話し方で損する人 得する人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出したばかりの作家で心理カウンセラーの五百田達成さんに教えてもらいました。
「夫のことは愛しているけれど、今さら口に出して自分の気持ちを伝えるなんて気恥ずかしい。でもやっぱり、ずっと仲良くしていたい」。
そんな夫婦間のジレンマを解消するには、「日常の会話を意識することが大切」だと五百田さんはおっしゃいます。
一体、どんな会話が効果的なのでしょう?
五百田達成さん プロフィール
作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
HP:五百田達成オフィシャルサイト
■コミュニケーション障害?「敵をつくらない」回りくどい言い方
――日常生活を送るうえで欠かせない「会話」。あまりにも当たり前すぎて見逃しがちですが、そもそもなぜ会話に着目したのですか?
五百田達成さん(以下、五百田さん):私は普段から言葉の本来の意味や正しい使われ方を気にしていて、例えば、レストランでの注文時に「◯◯でよろしかったですか?」と店員さんに聞かれると、すごく不自然に感じてしまうんです。ほかにも、「五百田さんのためを思って言うけど」と相手から言われても、内心「本当に私のことを思って言っているの?」と疑問に思ってしまったり。
じゃあ、どうしたら心がザワつかない言い方になるのか? 自分なりにずっと考えていたのですが、どうやら、ストレートに言った方が相手は不快にならず、かつ明確に伝えられることが経験上分かりました。
例えば、コーヒーが飲みたい時。カフェの店員さんに「おい、コーヒー」ではあまりにも無礼ですが、かといって「なんだか、のどが渇きました」では、回りくどくて相手にはまったく伝わりません。ここは「コーヒーを一つお願いします」と注文すればいいわけです。
特に、大人の女性はとても気をつかうので、なるべく角の立たない会話をしがちですが、もっと主観的に気持ちを伝えてもいいのではと、よく感じるんですよ。
――確かに最近、回りくどい言い方をよく耳にする気がします。現代の社会背景が関係しているのでしょうか? それとも、もともとの国民性なのでしょうか?
五百田さん:おそらくSNSの定着が理由のひとつでしょうね。失礼なこと、変なことを言うとすぐ炎上してしまう昨今、穏便で無難なゆるい人間関係が好まれるようになりました。
つまり、面と向かってストレートに話すこと、生のコミュニケーションに多くの人が逃げ腰になっているので、会話も遠回しな言い方になってしまう。「◯◯してもらうことって可能ですか?」なんて言わずに、ストレートに「◯◯してください」と言えばいいのに。
日本人の和を重んじる国民性も関係していると思います。確かに、日本人特有の角の立たない会話もいいですが、もう少しストレートに言っても問題ないと思いますよ。
要は伝わり方がすべてですからね。回りくどく言って相手に理解してもらえないのでは、コミュニケーションとしては失敗です。
それよりも、ストレートに、フラットに伝えて相手に思い通りに動いてもらう。これこそが本来のコミュニケーションであって、得する話し方なのですから。
それと、会話するうえで意識したいのが、明るくポジティブであること。毒舌を売りにしている芸能人やコメンテーターがもてはやされていますが、彼らはプロ中のプロ。素人の私たちが皮肉や悪口ばかりを言っていたら、相手はうんざりしてしまいます。
それよりも、いつも前向きな会話をしているほうが、結局はみんなに好かれます。