コミックエッセイ:こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~
無事に出産「不妊治療が終わって思うこと」【こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~ 第46話】
視線の先に、助産師さんに体を拭かれながら泣きじゃくる声と我が子の足が見えました。
まだ手術台に張りつけにされたままの私の手に頭が触れるよう、計測等をすませた赤ちゃんを連れてきてくれました。その頭は、まだシットリ湿っていました。
「久しぶり~」心の中で声をかけました。なぜ「久しぶり」かというと、0.1mmの受精卵以来の再会だったから。
こうして私の不妊治療は幕を閉じました。
自分の中のさまざまな気持ちに苦悩し、はいつくばって進むような日々。夫婦で本音をぶつけ、泣いたり、笑ったりした日々。いろいろなことを知り、いろいろなことを感じました。
女性として生む・生まないを真剣に考えること。
子どもがいることだけで幸せか不幸せかは決まらないこと。
自分の体を知ること。
家族の体を知ること。
心と体はつながっていること。
妊娠は思い通りにならないこと。
自分の気持ちを奮起させて挑戦すること。
失敗が続くとどんどん落ち込むこと。
周囲の何気ない一言に疲弊すること。
人の感じ方は自分の感じ方と違うこと。
赤ちゃんはキラキラしていること。
他人を妬む私がいること。
平静を装う私がいること。
他人のことは他人のことだと割り切ること。
流れに身をまかせること。
命が止まること。
悲しみは他人と比べるものではないこと。
夫婦にとって一番大切なこと。
自分の心を掘り下げてみること。
自分を認めてあげること。
想像力を持って思いやる心、人も自分も大切にする生き方。3年間の不妊治療の体験を通して知りました。
はっきりと思います。私には必要なプロセスだったと。
そして時々、妄想します。不妊治療に挑んだけれど、結局子どもを持たなかった私の人生を。その人生を生きている私も、きっと幸せであるだろうと。
※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
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