連載記事:夫にイライラするのはどうして? 脳から科学する“妻のトリセツ”
悪気のない“やらかし夫”が妻ともう一度やり直すには?【夫にイライラするのはどうして? 脳から科学する“妻のトリセツ” 第3回】
イラスト:中村こてつ
連載1~2回を読んで、「すでにNGワードを頻発してしまった」「手遅れかも」と遠い目をしているパパもいるかもしれません。
でも、挽回のチャンスはまだまだある! 最終回は、夫婦が幸せに寄り添うコツをご紹介します。
お話をうかがったのは…
黒川伊保子(くろかわ・いほこ)さん
人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した世界初と言われた、日本語対話型のコンピューターを開発。『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル)、『夫婦脳~夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか』(新潮文庫)ほか著書多数。
■もう手遅れ? 今から妻の心を取り戻す方法
――連載1~2回で今までの自分の言動を振り返り、もう手遅れ? と絶望しているパパもいるかもしれません。
黒川伊保子さん(以下、黒川さん):もう言ってしまったという場合、解決方法は簡単。素直に謝ればいいんです。しかも、謝り方によっては、あなたの株が急上昇することも。
まず、みなさまご存じの通り、妻が怒っている最中には何を言ってもムダです。謝罪を挽回に使いたいなら、穏やかな時間を狙うべし。
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例えば、親戚や友だちの出産の話を聞いたとき、ドラマで感動の出産シーンを見ているとき、こう妻に言いましょう。
「お産は男の想像を越える大変なものなんだね。○○(子どもの名前)のときは気づかなくて、君にはかわいそうなことをした。本当にごめんね」としみじみ頭を下げれば、妻の反応も違ってくるはずです。
――すてきです! でも、口下手な男性も多いですよね。メールやLINEを活用できる方法はありませんか?
黒川さん:例えば、出張の帰り道、新幹線から「富士山がきれい」と写メを送ってみる。
新横浜で下りる人なら、小田原を通過したあたりで、「お土産買ったよ」とメールしてみる。
新幹線じゃなくても、「今日は出先から銀座線を使ってる。東銀座で初デートしたよね」などと、送ってみるのもいいでしょう。
ポイントは、何でもない日常の中で妻を思い出した、という点をアピールすること。
女性脳は、家事をしていても、仕事をしていても愛する人のことがふと頭に浮かぶものです。だから相手にも、仕事をしていても「家庭を思い出した」という気持ちを示してもらえるのがうれしいんですよ。
――なるほど。でも男性には理解しにくいかも…。
黒川さん:男性脳は、一歩外に出たら愛する人の顔なんぞ思い浮かべることはありません。
第1回でご説明しましたが、男性脳は荒野で狩猟してきた脳ですから。いざ仕事モードに切り替わったら、目の前のマンモスに集中しないと踏みつぶされてしまいますからね。
――あと、いきなりそんなメールをしたら妻に「余計なメールやめてよ」「バカじゃないの」と言われるのでは? と心配するパパもいるかもしれません。
黒川さん:そんなことは気にしないでください。妻はそうやって罵倒しながらも夫に甘えているんです。
顕在意識で冷たい、きついことを言っても、潜在意識ではホロっとしたり、情を感じているもの。ちなみに人間の顕在意識なんて10%も使っていませんからね。
もっと注意すべきなのが、「余計なメールやめてよ」と言われても、言葉通りにやめたりしないこと。本当にやめてしまったら逆に、妻は「私たち最近、意思の疎通が取れてない…」と感じ始めますから。
――そういう心とは裏腹な妻の言葉も、男性には理解しづらいでしょうね。
黒川さん:例えば、妻の「もう一人にして!」というのは「一人にしないで」、「何でもない」は「怒ってる(泣いている)んだから、放っておかないで」、「みんな私が悪いんだよね」は「私、悪くないよね?」と、言葉とは逆の気持ちが隠されています。
女性のみなさんは、多かれ少なかれ心当たりがあるのではないでしょうか。
――あるあるワードですね。夫は覚えておくべし、ですね。