連載記事:一言で人間関係はガラッと変わる!「大人の伝え方ノート」
誤解だらけの伝え方「残念な1文字、好印象の1文字」【一言で人間関係はガラッと変わる!「大人の伝え方ノート」 第1回】
■人間関係に角が立つ! 語尾の「余計な1文字」
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――わかりやすい! ちょっと意識するだけで、相手への印象が変わりますね。
矢野さん:そうなんです。相手に自分をよく見せようとするのではなく、日ごろから「こう言ったら相手はどう思うか」を意識すれば、自然と言葉の選び方がブラッシュアップされてくるんですね。
もうひとつ、残念な話し方をご紹介しましょう。これも、ついやってしまいがちな例です。
会話で相手の印象に残りやすいのは、「語尾」なんです。余韻として残るんですね。
たとえば「はい、そうで『す』というべきところを、「はい、そうです『が』…」と、語尾に1文字プラスしてしまう言い方。
これを“言いさし”と呼びます。
――いるいる! そういう話し方をする人は多く見かけますよね。
矢野さん:もし心当たりがあるなら、今すぐやめることをおすすめします。
最後まで言い切らない表現は、相手に「なにか不満でも?」と思われる危険性が高いのです。言いさしは使わず、語尾や文末を明確に伝えれば、相手が余計なモヤモヤを抱くこともありません。
基本は、短い文で結論を伝えることを意識しましょう。たとえば、子どもの学校関係で、なにか委員を決めるとき。「じゃあ、私がやってもいいです『が』…」ではなく「じゃあ、私がやってもいいで『す』」で、スッキリ。
これなら、聞いている側も気持ちよく「ありがとう!」と言えますよね。
ただ、言いさしも使い方次第では良い効果もあります。ときには、言い切らないことで控えめな態度を表す効果もあるのです。
たとえば、どこかに遅れそうなときを想像してみてください。「少々遅れます」と「少々遅れそうでして…」とでは、後者の方が謙虚さが感じられますよね。
相手に迷惑をかけそうなのに「少々遅れます」と言い切ってしまうと、「なに開き直ってるの?」という印象を相手に与えかねません。でも「少々遅れそうでして…」と語尾をあえて濁すことで「申し訳ありませんが…」という気持ちを醸し出すことができます。
これは上級テクニック。
言いづらいことを言わなくてはならないときに、相手に与える印象をコントロールすることができます。
日常、何気なく話している言葉ですが、相手の心に与える影響は想像以上。とくに、「友達未満」の関係には気を遣いたいものです。
ほんの1、2文字ですが、ここに気を配れる人は、きっとママ友関係もスムーズにこなせるでしょう。
自分も相手ももっと心地よくなれるなら、ふだんの言葉づかいをちょっと振り返ってみませんか?
次回は、ママの「伝え方」についてお話をうかがいます!
参考図書:
『ひと言で「人間関係」はガラッと変わる! 大人の伝え方ノート』
(SBクリエイティブ)
元NHKのキャスターであり、スピーチコンサルタント、コミュニケーションに関わる心理学の研究者として活躍中の著者が、「人に好かれる」伝え方のコツを伝授。ビジネスはもちろん、ママ社会にも役立つ目からうろこのテクニックが満載の一冊。
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