連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典

【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ<パパ小児科医の子ども健康事典 第23話>

パパ小児科医の子ども健康事典

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Twitterでも人気! 小児科医であり2児のパパでもある、パパ小児科医(ぱぱしょー)さんが、子どもの健康を守るための「ちょっとしたこと」について教える連載。子どもの病気に関する知識や、大きな事故の…

【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ<パパ小児科医の子ども健康事典 第23話>

イラスト:ぺぷり


子どもに多い病気として熱性けいれんがあり、100人中約8人くらいの頻度で起こります。眼の前で子どもが白目を向いてガクガクとしだしたら、びっくりしてパニックになってしまうでしょう。

そういった時、親はどのようにすればよいでしょうか?

■熱性けいれん「どうする?」正しい対処法

まず、熱性けいれんは5歳以下の乳幼児によく起こります。

38℃以上に発熱して、最初の数時間でけいれんすることが多く、突然白目を向いて体が突っ張ったり、手足がガクガク震えたりします。多くは数分程度でおさまりますが、それ以上に長く続くこともあります。

一般的に、けいれんの時は以下のように対応するよう指導されます。

「熱性けいれんを起こしたら、子どもを横に向けて誤えんを防ぎ、けいれんが何分続くか、左右対称かどうかを確認します。けいれんが5分以上続く場合は救急車を呼びましょう」

これはこれで正しい対応ですが、はじめてけいれんを見た人にとってはハードルが高いかもしれません。


そこで、まずは「子どもを横に向けて誤えんを防ぐ」。これができればOKです。もし、ソファの上やお風呂場などでけいれんを起こした場合などは、安全な場所に移動させましょう。

けいれんが起こった時点では何分続くかわかりませんし、様子を観察するのは何度か子どものけいれんを見たことがある人ではないとなかなか難しいものです。

救急車をよんでも構いませんし、もし小児科が近ければそのまま受診しましょう。

けいれんというと、舌をかまないようにと口にタオルを入れたり、割り箸をはさんだりすると覚えている人がいるかもしれませんが、これは避けたほうがいい行動です。

なぜなら口の中にものを入れますと、のどが刺激されておう吐、窒息してしまうおそれがあります。もし、舌をかんだとしても、その出血がもとで窒息することはありません。
口の中には何も入れないと覚えておいてください。

■けいれんを繰り返す「複雑型熱性けいれん」

一般的な対応として、けいれんの時間をはかる、左右対称かどうかを見ることをご紹介しました。

なぜ、その対応が必要なのでしょうか。これは診断にとても重要だからです。

熱性けいれんは、以下の2種類に分類されます。

1.単純型熱性けいれん

2.複雑型熱性けいれん


単純型熱性けいれんは、けいれんが左右対称で、その時間が15分以内におさまり、24時間以内に反復しないことが条件です。

これにあてはまらないものは複雑型熱性けいれんにあたり、けいれんが反復します。そのため、反復しやすさなどを予測するために、左右対称かどうかと持続時間の確認が必要なのです。


両親いずれかの熱性けいれん家族歴、または1歳未満の発症の場合は再発率が50%ですので、これらに該当する場合は再発に注意を払ったほうがいいでしょう(日本小児神経学会「熱性けいれん診療ガイドライン2015」)。

ただし、熱性けいれん全体の再発率は約30%ほどですので、再発しないことのほうが多いです。

熱を下げたらけいれんしなくなるのでは? と考えるかもしれませんが、解熱剤で熱を下げてもけいれんの発症リスクを下げることはできません。

とはいえ、解熱剤でけいれんが起こりやすくなることもないので、高熱でつらそうな時は解熱剤を使っても構いません。


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