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体にひびが入ったような見た目となる「肉割れ」。たとえ目立たない場所にあっても、女性にとっては気になるものです。
実は、肉割れにはできやすい場所や、できやすいタイプがあるようです。なぜ肉割れができるのかを知り、予防対策をすれば肉割れは怖くありません。また、できてしまった肉割れの消し方についてもご紹介しましょう。
【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生
婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。
著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。
■肉割れとは
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肉割れって何?
医学的には「皮膚伸展線条(ひふしんてんせんじょう)」や「線状皮膚萎縮症(せんじょうひふいしゅくしょう)」といいます。
皮膚は、“表皮”、“真皮”、“皮下組織”という3つの層からできています。何らかの原因によって皮膚が急激に伸びたとき、真ん中の層である真皮が裂け、肌の表面にある表皮の上からでも真皮の断裂がわかるようになるのが肉割れです。
肉割れと呼んでいますが、実は
皮膚が裂けてできたものなのです。
肉割れの幅は数mm、長さは数cm〜十数cmほどで、肌がひび割れたように陥没したり、しわができます。その見た目から私たちが「肉割れ」というように、英語圏では「ストレッチマーク(stretch marks)」と呼ばれているのだとか。
英語でも通称名があるということは、肉割れは世界でも一般的なもので、肉割れに対する悩みは世界共通なのかもしれません。最近では日本でも美容クリニックや皮膚科、スキンケアメーカーでもストレッチマークという呼び名を使っているところが多くみられます。
参考書籍:『あたらしい皮膚科学:第2版』(中山書店) 著者 清水宏(北海道大学)
【肉割れができやすい場所】
肉割れができやすいのは、太ももの外側やおしり、乳房など。脂肪がつきやすい部分にできることが多いのだそう。服を着ていれば見えない部分ではありますが、安心できません。このほか、脇の下や腰まわり、ふくらはぎにできることもあります。
参考書籍:『おなかの中を可視化する! はじめての妊娠&出産』(大泉書店) 監修者 竹内正人
肉割れの種類
ひとくちに肉割れといっても、見た目はさまざま。たとえば、母親世代の女性のおなかにある肉割れと、最近太ったためにできた肉割れ、妊娠中にできた肉割れとでは色が違ってはいませんか?
実は、できてから時間がたつにつれて肉割れの色は変わるのです。
▼赤い肉割れ
赤色や赤紫色の線はできたばかりの肉割れです。この色は、亀裂が入った皮膚の下にある毛細血管が透けて見えているから。このときは皮膚がわずかにへこんでいます。
▼白い肉割れ
赤い肉割れができてから時間がたつと退色し、やがて灰白色になります。白っぽくなったことで赤い肉割れよりは目立たなくなるものの、表面には細かいしわが出てきて、触るとデコボコになっているのがわかります。
参考書籍:『あたらしい皮膚科学:第2版』(中山書店) 著者 清水宏(北海道大学)
■肉割れの原因
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▼肉割れの原因1: 「妊娠」
妊娠線というワードもよく耳にしますが、これも肉割れのこと。一般的に妊娠が原因でできた肉割れを妊娠線と呼び、それ以外の原因でできたものを肉割れと呼んでいます。
妊娠すると急激に体形が変わることが多いため、太るスピードに真皮がついていけず肉割れができてしまうのです。また、妊娠中は副腎皮質ホルモンが増加することによりコラーゲンの生成が抑えられ、お肌の弾力が失われます。そのため、ますます肉割れが起こりやすい体になっているのだとか。
大きくなったおなかにある肉割れは、まるで網目のあるメロンやしま模様のスイカのよう…。妊娠時の肉割れはなんと90%以上の妊婦さんが経験するのだとか! 妊娠6カ月ごろから下腹部や乳房、おしりにできやすいので気をつけたいところです。
参考サイト:福岡県薬剤師会「妊娠線はなぜできるのか?予防法は?(一般)」
▼肉割れの原因2: 「成長期」
思春期の急激な成長が原因で肉割れができることもあります。
また、ハードなトレーニングで筋肉を鍛えた場合には、筋肉の成長に皮膚がついていけず、肉割れができてしまうことも。
思春期といえば、学校の部活動に打ち込む時期でもあります。熱心なのはいいことですが、根を詰めるのも場合によっては考えものです。
▼肉割れの原因3: 「加齢」
通常、真皮には肌の弾力を保つためのコラーゲンが豊富にあります。しかし、年を重ねるごとにコラーゲンの量は減少。若いときには大したことのなかった刺激でも、コラーゲンの減ったお肌にとっては大ダメージとなることも。
お肌のコラーゲンが減ってしまった場合、通常なら肉割れができるような状況ではなくても真皮の繊維が裂けて肉割れができることもあるといわれています。
▼肉割れの原因4: 「過度な筋トレ」
肉割れは急激な体形の変化によって起こります。よって、痩せるために過度な負荷をかけたり、偏ったトレーニングをした結果、急速な筋肉の発達に皮膚が追いつけずに肉割れができてしまうことも。
ビキニが着たい一心でダイエットに励んでも、おなかや太ももに肉割れがあったらがっかりしてしまいますよね。そんなことにならないように、無理なダイエットはやめましょう。
▼肉割れの原因5: 「急激に太った」
肉割れといえば、多くの人が太った体にできたものをイメージする通り、肉割れの原因のひとつは急激な体重増加によるものです。太っていく体に皮膚の真皮層が耐えられず、皮膚が引っ張られて肉割れができてしまいます。
肉割れは柔軟性のない皮膚にできやすく、脂肪の多いおなかやおしり、太ももなどにあらわれることが。また、自分では気がつきにくいひざの裏にも肉割れができることもあります。
▼肉割れの原因6:歩き方が悪い
太ったり痩せたりするほかに、普段の歩き方のせいで肉割れができることもあるのだとか。足の指に力が不足すると、歩く時にも指が上がったままに。思いあたる人は要注意です。
このように足の指先がうまく使えずにアンバランスな状態で歩いていると、ふくらはぎの筋肉に大きな負担がかかります。そのせいで足が太くなり、肉割れができるといわれています。
スカートをはいたときに見えるふくらはぎは美しいほうが自分の気分も上がるもの。歩き方に気をつけましょう。