誰も教えてくれなかった産後のホント。むぴーさんが描く「育児の理想と現実」
母親の細かな心理を絶妙なタッチで描き、多くのママから共感を集める人気コミックライターむぴーさんの新作
『母がはじまった』(PHP研究所)が発売されました。
本書は初めての出産・育児に戸惑う主人公「リサ」の産後7日間を描いたWeb連載『母、はじまりの7日間』を再編集し、多くの書き下ろしを加えた作品。
連載では描かれなかった夫「ショウジ」視点の子育てに加え、退院後の新生児育児に悩み苦しみながら親になることの意味を学ぶ母親の姿が描かれています。
■“母親なんだから”の一言に何も言えなくなる…
子どもが生まれたらとても自然に“お母さん”になれるものだと、多くの人は当たり前のように思っているかもしれません。
しかし実際は、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこするのさえままならず、授乳にいたっては「おっぱいが出ない」「赤ちゃんが飲んでくれない」と悩み、絵に描いたような“幸福な母親像”はどこにも見当たらなかったりするのです。
本書の主人公「リサ」もまた、知り得なかった産後の現実に戸惑いながら、心身ともにギリギリのなかで、わが子のお世話に追われる日々を送ります。
『母がはじまった』より
出産の痛みを乗り越えたらとりあえず一段落……なんてとんでもない。
その先に待っている後陣痛に会陰切開の痛み、血豆で激痛に耐えながらの授乳など…誰も教えてくれなかった出産直後に直面する母親のリアルな風景がここに描かれています。
そして24時間体制の育児に本当は身も心も限界を感じ始めているけれど、「つらい」なんて言えるわけもなく……。
『母がはじまった』より
育児は母性だけで簡単に乗り越えられるほど甘いものじゃないはずなのに、“お母さんなんだから”の呪いの言葉が自分自身を追い詰めてしまう……。
お母さんなんだから、がんばらなきゃ
お母さんなんだから、子どもを優先しなきゃ
お母さんなんだから、強くならなきゃ
でも母親になった瞬間から、誰もが強くて、たくましい母親になれるものなのだろうか?
母親になったからといって、むしろ
誰もが期待するような母親像を目指す必要があるのだろうか?
『母がはじまった』より
だから、ときに“お母さんだから”を脱ぎ捨てて、弱い自分をさらけだすことがどんな母親にとっても大切なことを、本書はリサの産後ストーリーをとおして教えてくれるのです。