コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし

死後も子どもにプレゼントが届くよう…純粋で危険な人生を送った三島由紀夫とは 〜文豪クズ男列伝〜【夫婦・子育ていまむかし Vol.18】

夫婦・子育ていまむかし

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江戸、明治、大正…と日本人はどんな子育てをしていたのでしょうか? 家族のあり方やライフスタイルが多様化している今、改めて日本の歴史を見直してみませんか! 不思議な公家のたぬ君と遊び女おこんのふたりが…

ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。tomekkoです。

クズ文豪シリーズへのコメント、ご感想いつもありがとうございます!
リクエストもよくいただくので毎月次は誰の人生と作品を紐解こうかとワクワクしながら書かせていただいております。

さて、このシリーズを始めた当初から書きたいけど書きづらいな〜どうしようかな〜と思っていた文豪さんがおりまして…。

1
ご存知三島由紀夫!!

美しい日本語の表現、耽美で雅で悲劇的。そしてどこか妖しい薫りが立ち込めるような作品性。

谷崎潤一郎とどっちが好きかと聞かれたら…悩みに悩んで決められないくらい好きなんです。

とはいえ人生をじっくり知ろうとしたことはなく、どうしても作品のテーマの強烈さと亡くなり方の壮絶さのため、ご本人もさぞかし家族を泣かせたクズ系譜であろうと(ひどい)勝手に思い込んでいました。

そんな三島由紀夫をついに書いてみよう、と調べ始めてすぐに、作品から勝手に抱いていた私のイメージは大間違いだったことに気づきました。

意外にも家族思いな一面が!


2
官僚を3代務める家柄で本人も幼少期から学業優秀。三島自身も一年間ではありますが大蔵省(現財務省)の役人だったこともあるんです。

ま、ここまでは文豪あるあるじゃないですか。
なんなら家柄と神童だったという事実はクズ文豪を生成する必須素材のような気がしてきます…。

でも三島は違うんです。
生涯を通してめっちゃくちゃ純粋で硬派。それ故に晩年は政治的思想に傾いていってしまったのではないかと思われます…。
3
他のクズ文豪と大きく違うな、と感じたのが子どもたちへの思いやり。
割腹自決という凄惨な最期を選んだ三島ですが、自分が亡くなった後にも毎年子どもたちにクリスマスプレゼントが届くように百貨店に先んじて手配をし、子ども向け雑誌の定期購読料も先々の分まで先払いしておいたそう。

家庭を顧みず酒や賭け事に溺れたり女にだらしなかったり…その挙げ句勝手に死んでしまう(なんなら女を巻き添えにする)ような文豪たちを見てきてのこのエピソード…ちょっと胸に来るものがありませんか?

自衛隊駐屯地で檄文を撒きクーデターを煽動する演説の後に切腹して自決するという激しい行動の裏で、家庭の小さな幸せを大切にする心の持ち主でもあったんですね。

現代の感覚でも「クズ」という枠に入らなそうな三島由紀夫をどんな切り口で紹介したら楽しめるかなぁ…と考えたのですが、今回は三島由紀夫の『審美眼』に注目してみたいと思います。

三島由紀夫 独特の美意識とは?


4
兎にも角にも、三島の特徴は独自の『美』をとことん追求していたこと。

それは自分のペンネームへのこだわりにも見られます。

16歳という若さで『花ざかりの森』で文壇デビューし、天才が現れたと絶賛された三島。
当時は本名を使っていましたが、若すぎることを案じて周囲からペンネームの使用を勧められました。

万葉仮名ふうに当て字の名前にすること、そして漢字の見た目から来る印象、並びの美しさ、柔らかさにまでこだわって“由紀夫“となった経緯には既にこの歳から言葉に、響きだけでなく字面の並びにも理想の美を求めて見ていたことがわかります。

そんな三島は、実は昭和を代表する名女優や俳優を見出した究極の審美眼を持っていました。

たぶん彼はあのまま生き続けていたら文豪としてだけでななく、プロデューサーとしての名声もほしいままにしていたんじゃないかな。

中でも有名な方を紹介してみましょう。

幼少期は祖母の影響で能や歌舞伎に触れ、その流れで古典文学をこよなく愛し、日本中世の御伽草子や能の筋書きをベースに、自身でも戯曲や創作歌舞伎を次々と発表し上演しました。

この時の役者の中で、三島が出会った超弩級の新人が若き日の坂東玉三郎さんです。

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