連載記事:ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント
子どもの「生きづらさ」を「らしさ」に変える【ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント Vol.2】
『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』楢戸ひかる著 より
ここ数年で少しずつ認知が広がってきた、
ギフテッド。しかし、言葉だけが先行し、ギフテッドである
当事者の生きづらさや、周囲の人たちの最適な接し方といった本質的なところまではなかなか理解が進んでいません。
そこで今回の
【きほん編】では
『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』から一部抜粋・編集し、
ギフテッドとはどんな特性をもっていて、どのような配慮が必要なのか、をご紹介します。
本書ではギフテッドをとりまく現状や課題、有識者たちによる知見やアドバイス等を、マンガを交えてわかりやすく紹介。「子どもの成長に必要なもの」が生き生きと描かれており、当事者のみならず「すべての親たちに役立つ子育てのヒント」が詰まっている。
さらに、この本の著者
楢戸ひかるさんに、
日本におけるギフテッドの現状や課題についても伺いました。(次回【インタビュー編】にてご紹介)
本連載は、初めてギフテッドについて触れる方にもわかりやすいよう
【マンガ編】【きほん編】【インタビュー編】の3部構成でお届けしています。これを機に「ギフテッドをとりまく環境」に少しでも関心をもっていただき、
すべての人が生きやすい世の中をみんなで作っていけたらと願っています。
知ってるようで知らない、そもそもギフテッドって?
『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』楢戸ひかる著 より
「ギフテッドとは、教育学や心理学で使われる用語で、一般的には
知的能力(知能)の高い子どもを指して使います。医学的な診断名ではないので、
医療機関を受信しても、ギフテッドと診断してもらうことはできません。
アメリカではギフテッドに関する項目に
定義が記載されていますが、日本には定義はまだありません。しかしながら、2022年秋に
有識者会議から文部科学省への提言がおこなわれ、今後の施策が示されるなど、日本でも議論がスタートしているところです」
IQや能力が高いひと=ギフテッド なの?
「ギフテッド」とは、知能が高いだけでなく、“学校や日常生活で困ることがある”お子さんのことを指します。
「ギフテッドの教育整備が進んでいる
北欧のデンマークでは、2024/25年度からギフテッドの
スクリーニングチェックリストの活用を目指していますが、このチェックリストのもととなった研究では、ギフテッドに該当した子どもの84%が
IQが120以上だったという報告があるそうです。
知能が高いというのはギフテッドのひとつの特性といえます。そしてもうひとつ大切なポイントは、
“学校や日常生活で困ることがある”ということです。
『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』楢戸ひかる著 より
ギフテッドのおもな特性や、デンマークのスクリーニングチェックリストなども紹介。
知能が高くても、学校や日常生活で困っていない子もいるでしょう。あえてギフテッドというラベルを使うのは、実際に困っている子がいるからです。
ギフテッドは、
言語理解力や記憶力、好きなことに対する探究心などは高いです。一方で、
日常のルーチンが定着しない、精神的にちょっと幼いと感じるケースが、よく見受けられます。
幼児期はとりわけ知識の高さに生活力が追いつかない時期で、そこにギフテッドによくある
完璧主義や正義感の強さが結びつくと、
イライラが募って癇癪を起こすなど、
周囲の人との軋轢を生んでしまいます」