発達性協調運動障害とは?ただ不器用なだけではない?症状、困りごと、相談先、家庭での対応まとめ

2016年7月27日 10:11
 


発達性協調運動障害とは?

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協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。

発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。

本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2ndversion)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントテストによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動障害かどうかを判断します。

アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では以下のような診断基準になっています。

A.協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習及び使用の機会に応じて期待されるよりも明らかに劣っている、その困難さは、不器用(例、物を落とす、またはぶつかる)、運動技能(例、物を掴む、はさみや刃物をつかう、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。

B.診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例、自己管理、自己保全)を著明及び持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前及び就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。

C.この症状の始まりは発達障害早期である。

D.この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例、脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074/


発達性協調運動障害と運動能力

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人間の運動には大きく分けて、粗大運動と微細運動があります。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。

粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。

粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。

微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。

モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける。字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。

発達性協調運動障害のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。

子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。


発達性協調運動障害のある子どもの年齢別の困りごと

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発達性協調運動障害かどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動障害であるということではありません。

子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。

乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。

ですが、発達性協調運動障害と診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。

例:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない

幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動障害と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動障害のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。

例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、平坦な場所でも転ぶ(転んだ時に手がでない)、トイレで上手にお尻をふく

小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で繊細な動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動障害が顕著に表れます。発達性協調運動障害のある子どもは以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。

例:パズルを組み立てる、模型を作る、ボール遊びをする、活字をますの中に入れて書く、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもが結べない、お箸をうまく使う、文房具作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規をおさえられずにずれるなど)


発達性協調運動障害の原因

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発達性協調運動障害のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。
まず妊娠中、母親のアルコールを摂取、またはそれによる早産、低体重で生まれた場合、発達性協調運動障害を発症する確率が高いという研究があります。

次に、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症との併発が非常に多いため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動障害を発症する可能性が高いと言われています。

5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症します。また、女児より男児のほうが発症率が高いことが分かっています。

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『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)


発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?

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現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準があります。

現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。

発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。

『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。

『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。

対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。

『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。

しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。

ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。

子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。

発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。


発達性協調運動障害について相談できる機関

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子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。

市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。

子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。

都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。

発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。

発達障害情報・支援センター相談窓口情報

http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%9B%B8%E8%AB%87%E7%AA%93%E5%8F%A3%E3%81%AE%E6%83%85%E5%A0%B1/#_928
ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。


発達性協調運動障害への支援を受けられる機関

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上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。

上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。


発達性協調運動障害の支援・治療方法

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作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。

発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。

http://kakufuh.com/tokyo_s/consultation/rehabilitation_ot.shtml
東京小児療育病院みどり愛育園

広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。

http://www.japanpt.or.jp/aboutpt/physicaltherapy/
日本理学療法士協会


家庭でもできること

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家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。

あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。

家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。

・手先がうまく使えていない

・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。

・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。

上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、

・手の筋肉の動きをうまく制御できない

・手元に注意が向いてない

・手の動きと視覚の情報の連携が取れていない

などが挙げられます。

これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。

具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。

・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。

・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。

・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。

ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。

また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。

https://conobie.jp/article/4073
Conobie コラム粘土遊びは子どもの脳が活性化する!?楽しく創造力を伸ばす、3つの魅力とは?

https://goo.gl/5DfLz5
乳幼児期の感覚統合遊び

https://goo.gl/3qRzTq
発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1


まとめ

発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。

しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。

たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。

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