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学習障害でADHDの息子が、小学5年生で「転学」を決意した理由

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ADHDと診断はおりていたけれど、まずは普通級に進学した長男

学習障害でADHDの息子が、小学5年生で「転学」を決意した理由

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子どもに合った学習環境のためとはいえ、転学というのは、なかなか簡単には決められないものです。

また、近所の友だちやそのご家族に、どのように伝えたらいいのだろうか。どんな目で見られるだろうか。私は、それがたまらなく不安でした。

幼稚園の年長のとき、園の先生にすすめられて受けた相談外来で「ADHDの疑いがありますね」と言われた長男。就学相談では、「検査の結果から、普通級で大丈夫でしょう」と言われ、そのまま地元の小学校へ入学しました。

次第に勉強についていけなくなり、ストレスから体に異変が

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GW明け頃から、目まぐるしい学校生活や友達関係に必死についていこうとして疲れてしまったのでしょう。学校から帰ると、パニックのように大泣きして「ぼくはダメだ、最低だ!」と自分を責めるようになっていきました。


こうして、週に一日、通級学級に通うことが決まりました。

仲の良い友達もでき、「これで学校生活は大丈夫かな~」とホッと一安心していたのですが、2年、3年と進級していく毎に、今度は勉強について行けなくなりました。

「勉強できないけど、遊ぶのが楽しいからいっか♪」と開き直れる子なら良かったのですが、テストは100点でないとダメ、1つ失敗するともう終わり!という極端な考え方の長男。

こうしたこだわりは、いつしか自分を責め、それでも頑張らなくちゃいけないと、どんどん自分を追い込んでいったようです。

そんな中、ある日突然「もう疲れた。学校に行きたくない!」と大泣きをして、数日学校に行けなくなったことが、ありました。首をあまりに痛がるので、病院に行くとチックと診断を受けました。

この頃には、授業でボーっとしたりできずに泣いたりすることが増え、「頑張っているのにできない」という現実に、長男はかなりのストレスを溜めているようでした。

子どもにとって本当に良い選択とは何か?悩んだ日々

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この頃、私たち夫婦は「転学させるべきか、このまま様子をみるべきか?」迷っていました。

私たちの地域には、情緒障がい児のための特別支援固定級はありません。あるのは、知的障害児のための固定級です。

好きなことにはとことんのめり込み、1度見ただけのテレビや本の知識もすぐ吸収してしまう。「将来は研究者になりたい!」と目を輝かせて言う長男を、特別支援級に入れることで、彼の将来の選択肢を狭めてしまうのではないか?

違う学校の支援級に転学するということは、友達とも引き離してしまうことになります。

また、次男と一緒に通っている小学校から、長男だけ別の学校に転学することを、近所の友だちやそのご家族がどう思うのだろう?という不安もありました。

ですが、その一方で「長男がどんどん自信を無くしていく、ネガティブになっていく」ことも、ひどく心配でした。

校長先生からの一言で、転学を決意

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そんなとき、校長先生からある言葉をかけられました。


「彼は、とても一生懸命だよ。そして、とても豊かな発想力と、人へのやさしさを持っている。そんな彼が、学校の勉強では辛い思いをしているのを見てるとね。我々学校の意味ってなんだろう、って思うんだよ。

彼の良いところだけはつぶしたくないよね、守っていきたいよね。」

私たちが長男に願うのは、学歴や、他の子どもと同じように育てるということよりも、幸せな大人になってほしいということ。

自分なりの生活をして、失敗をして落ち込むことがあっても「それでも僕は大丈夫」と思えるように。自分の好きなところを見つけられるように。そんな大人に、なってほしい。


そのためには彼のペースに合った、学習や生活ができるところに、置いてあげたほうがいい。不安な気持ちもありましたが、校長先生との話で、息子への思いを改めて確認することができました。こうして、私たち夫婦は転学を選ぶことにしたのです。

転学までのステップ

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まず最初に、就学相談を申し込みました。

●初回面談・行動観察

相談員の先生に、子どもの発達の様子や学校生活の様子、転学先の希望などについて伝えます。母子手帳や育児日記など、ありったけの資料をひっくり返して臨みました。

子どもは別室で1時間ほど、遊んだり簡単な学習をしたりし、その様子をモニタリングしてもらいます。

●発達検査・医師との相談など

長男は半年ほど前に、LDの検査を受けています。
その資料を取り寄せて提出したので、医師との相談、検査は省略されました。

●学校での様子を観察

相談員の先生が、学校での長男の様子を見に行っていたようでした。

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就学相談期間中に1度、希望する支援級での体験が受けられますが、相談を受ける前に、私たち夫婦で支援級の見学に行きました。

まずは親が見て「長男にとっていい環境かどうか」を判断する必要がある、と思ったからです。

これには、小学校の校長先生が快く動いてくださいました。相談すると、

校長先生「向こうの校長先生と知り合いだから、話を通しておくよ、電話してみて」

と言ってくれたのです。

見学の結果、ここなら長男が自分のペースで自信を持ち、学習するのを助けてくれるだろう、と確信できたので、見学先の先生方にその旨お伝えしたところ、

見学先の先生「1度本人も来てみた方がいいですよ、連れていらっしゃい!」

と提案してくれました。こうして長男は、1回の見学、1回の体験と、2回支援級に行くことができました。


慣れない環境だと、緊張が強く出てしまう長男にとっては、2回目の体験で「ここなら楽しく勉強できそうな気がするよ」と思えたのでした。
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就学相談を始めたのが4月、必要書類も5月には提出し、後は会議を待つばかりとなっていました。

ですが、結局「転学支援部会」が開かれたのは7月の半ばのこと。そこで改めて保護者面談・子どもの行動観察が行われ、その結果をもとに「就学支援等検討委員会」が行われたのが、その1週間後でした。

「結果が出るのは、夏休みに入ってからですね」と言われたのには、驚きました。

つまり、1学期の終業式には転学するかどうかがわからないまま、2学期になったらいきなり、新しい学校に行くんだよ!と言わなくてはならないということ。

彼の心の区切りのためにも、ちゃんと先生や友達に「ありがとう、次の学校で頑張ります!」と挨拶してから、次へのステップに進めたい。

この気持ちを、今までの学校と支援級の先生とにお話をしたところ、お二方とも「その方がいいですね」とご理解くださいました。


結局、夏休みに入って転学許可を頂いた後に相談をし、「始業式は今までの学校で参加し、翌日から支援級へ」という流れにしてもらったのでした。

転学の目的を、本人にどう伝えるか

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転学が正式に決まり、長男本人にも「2学期からは、前に見学に行ったあそこの学校に行くことになったよ」と伝えました。

見学や体験の時に「う~ん…勉強はこっちの学級のほうがラクそうだけど、友達がな~」「歩く距離が遠くなるんじゃない?」と言っていた長男ですが、なんとなく察していたところがあったのでしょう。

父親が、「今のクラスでは、君のペースで勉強できなくて辛いでしょう。でも、君のペースに合わせてもらえるところなら、君はもっともっといろんなことを学べるんだよ。

君の得意なこと、いいところを大事に伸ばしていくために、新しい学級に行こうよ」と伝えたところ、「うん、わかった!」と、親が拍子抜けするほどに、すんなりと受け入れられたようです。

転学が子どもの可能性をひらくこともある

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知的障害児対象の特別支援学級に行くことは、「勉強についていけないから、落ちこぼれたから行く」のではなく、

●彼のペースや興味関心・勉強の仕方を尊重し、自信を持って勉強するための環境に行く

●彼の良さを認め、伸ばすことができる環境に行く

というステップアップのためだと、私たち夫婦は考えています。

これからいろんなことを言われたり、考えたりするかもしれません。ですが、親がその考えからブレることなく、自信を持って彼を支え励ましていきたい。そう思っています。

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