子育て情報『自閉症の息子は、他人に興味がないと思ってた。ある運転手さんとのお別れで…』

2017年1月27日 15:00

自閉症の息子は、他人に興味がないと思ってた。ある運転手さんとのお別れで…


重度の自閉症と持病のある長男の通院。ほっと一息つけたのはタクシーの中でした

重度の自閉症があり、生まれつき肝臓と心臓に疾患を持つ長男は、赤ちゃんの頃から小児病院へ通っていました。

車の運転ができない私は、双子の次男も連れて、双子ベビーカーを押しつつミルクとオムツの入った大きなバッグを背負い、電車に揺られて最寄りの駅へ。駅から病院まではタクシーで息を切らしながら通院していました。

自閉症の息子は、他人に興味がないと思ってた。ある運転手さんとのお別れで…の画像

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この頃は双子の育児と長男の闘病で、精神的にも肉体的にも辛い時期でした。会計を済ませて病院から出ると、疲労感で頭もぼんやりしています。そのままタクシー乗り場に向かうと、利用者が少ないためか、たいてい同じタクシーが停車していました。


何度か通院するうちに、自然と一人の運転手さんのタクシーに乗ることが多くなり、顔なじみになりました。白いあごひげを垂らしたこの初老の運転手さんが、ベビーカーを畳んだり泣いている双子をあやしたり……

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とりわけ心を配ってくださったことで疲れがほぐれ、温かい気持ちで家路につくことができたのです。

病院へ通う回数を重ねるうち、次第に運転手さんとの交流も増えていきました。

「会うたびに大きくなりますね」そう言って双子に微笑みかけてくださる、その温かい人柄にどれほど心が救われたことでしょう。


立派なひげの運転手さんはサンタクロース!?でも長男の反応は…

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子どもたちが3歳になったころのある日、私はこの運転手さんが白い見事に長いあごひげをたくわえているのを見てこっそり「運転手さん、本当はサンタクロースなんだよ」と子どもたちに耳打ちしました。

次男は目を丸くし、タクシーの客席から感嘆の眼差しをおくっていましたが、言葉の理解が遅れていた長男は反応せず、いつもどおり窓の外を眺めていました。


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長男にはまだわからないかな、と思いましたが、雪がパラパラと降る夕刻、寒さに震えながら病院を出た時、変わらず待っていてくれるこの運転手さんの存在は私たちにとって本物のサンタさんのようだったのです。


病院の移転で、運転手さんとはもう会えなくなってしまう

子どもたちが8歳になる今年、長男の通っている病院は、老朽化が進んでいることもあり移転になります。

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