視空間認知って?「見る」ことのメカニズム・検査・強化するトレーニング法、発達障害との関連について
このはたらきは「入力」の部分にあたり、目の動きが適切に行えることで、情報をくまなく目から取り込むことができます。
眼球運動には、以下の3つの種類があります。
◇ものを目で追う「追従性眼球運動」
一本の長い線や、本に書かれた文字をゆっくりと追いかける眼球運動のことです。見ているものの動きに合わせて滑らかに、動いているものと同じ速さで眼球を動かすことです。また、ひとつのものに焦点を絞って見つめ続けることも、追従性眼球運動のひとつです。
例えば以下のようなとき、追従性眼球運動がはたらいています。
・飛んでいる飛行機を目で追う
・書き順を目で追う
・ものをじっと見る
◇視線をすばやくジャンプさせる「跳躍性眼球運動」
すばやく、一点から別の一点へ視線を動かす眼球運動のことです。飛び石から飛び石へ視線を移していくというイメージがわかりやすいかもしれません。
この眼球運動は、多くのものの中から必要な情報を早く、正確に見つけるために必要なはたらきです。
例えば以下のようなとき、跳躍性眼球運動が働いています。
・黒板とノートを交互に見る
・人ごみの中から探している人を見つける
・本を読む際、次の行に移る
◇見るものに合わせて右目と左目を離したりする「両目」のチームワーク
普段意識することはないかもしれませんが、私たちは両目を使うことにより物の距離感や立体感をつかんでいます。
片目を閉じて、周りを見渡してみてください。片目で見るときには周りの景色が写真のように見えるのではないでしょうか。写真ほどではなくても、見え方に少し違和感があると思います。
ものとの距離に合わせて、右目と左目の視線を変化させています。つまり、対象物に焦点を合わせるために、近くのものを見るときには両目を真ん中に寄せ、そして遠くのものを見るときには両目を離しているということを指します。
これら3つの眼球運動が正しく機能することにより、情報を目から取り入れる「入力」という第1ステップが完了します。
Upload By 発達障害のキホン
第1ステップで「入力」された視覚情報は脳へ伝わり、「情報処理」という第2ステップへと引き継がれます。この情報処理の段階ではじめて、本記事のテーマとなる視空間認知の力が発揮されます。
視空間認知は、目から入った情報を脳で把握する能力です。空間の一部ではなく、全体像を把握するはたらきがあります。