2017年12月27日 12:00
本当はフラフラなのに…友達の前では気丈な息子、背中に見るは15歳のプライド
回復するケガとふさぎ込む心
外傷性くも膜下出血で入院中の息子リク。
点滴も外れ、フワフワした口調もだんだんと安定し、状態は少しずつ良くなってはいましたが…。
受験まであと3か月、激しい頭痛に襲われたりと受験勉強に取り組めるコンディションではなく、そのことが息子を焦らせ、とうとう嘆くのにも疲れたのか、次第に笑わなくなっていました。
そんなある日、リクの友人がお見舞いに来てくれました。
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リクは学校の友だちの気兼ねないふるまいや、屈託のない話題に、大声で笑い、ほんの数分で、こぼれ落ちるほどの若きパワーが部屋中を駆け巡っていました。
それはなんだか懐かしい光景でもあり、私の心も救われたように思います。
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入院してから、ロビーに出るのはこれが初めて。
歩き方もぎこちなく、息があがっているのが見ていてよくわかりました。
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つらさをこらえ最高の笑顔で友人に伝えた「ありがとう」
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この日友人が来てくれたことで、リクは驚くほどはしゃぎ笑い、その表情は喜びで溢れていました。
勉強したいと焦り、嘆き、ふさぎこんでいたリクに対し、私は声をかけ励ましているつもりでしたが…リクにとっては軽々しく浮薄なものだったのかもしれません。
ひたすら気を使ったような私の励ましは、今のリクにとって、いつも通り接してくれる友人のくれるパワーには到底かなわないものだったのです。
友人達の前で、おぼつかない足取りながらも友人と肩を並べて歩くリク。それはリクの精一杯の意地でした。
リクは私の知らないところでたくさんの絆をつくり育んでいました。
事故後、記憶の整理や物事の理解に困難が出ている状況なので、本当はみんなの話すスピードについていくだけで必死だったと思います。
それでも「友だちと歩きたかった」から見送るというリクの本心は、同情もせず、いつも通りに接してくれた友人たちへ向けた、彼なりのプライドの証なのかもしれません。
15歳という粗削りな経験の中でも自分の口からふいに「幸せだ」という言葉が出てしまうほど、これまで友人達と過ごしたなんでもない日々がリクの全てであり、守りたいものであり、宝物だったのです。