2018年9月4日 07:00
個性的な同級生への初恋から30年。子育てして気づく、伸びやかな発想の彼を支えた親のチカラ
恋愛なんて他人ごとだった…オクテな私の初めての恋
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161010244
あなたが中学生のころ、クラスではどんな男子がモテていただろうか?
地域や年代によって差異のある事柄だろうが、バスケ部のキャプテンやらサッカー部のエースやら、スポーツに長けている子が人気というのはよく聞く話で、私が通っていた中学校でもそうだった。
では、私自身はどうだったか。当時の私は、地味で目立たずコミュニケーションが苦手な女子だった。それもあり、いかにも人気者といった雰囲気の男子はまぶしすぎるというか、自分とは別世界の存在であるかのように感じていた。そして、奥手でなおかつ自分に自信がなかったため、恋愛なんて他人ごとだと思っていたのだ。
そんな私にも春は訪れる。中学1年生のときのある土曜の昼、部活動の練習に向かう前、教室で弁当を食べていたときのことだ。
通路を挟んで隣では、同じクラス、別の部の男子たちが歓談しながら弁当を食べていた。なんの変哲もない光景だ。しかし、私の目の端に写りこんだ、Kくんの弁当だけがどうにも異様であることに気がついた。
(なんか、やけに白くない…?おかず、持ってきてないの?)
恐る恐るそちら側を向こうとした瞬間、
「うわぁ!今日も伸びてる!」
とKくんが叫ぶではないか。
(伸びる…?どういうこと?)
思い切ってKくんの弁当箱に目をやると、なんと、中身はそうめんだった。
(え?ちょっと、なんなのこの人!?)
彼は、そうめんが好きすぎるあまり、どうにか弁当にしようと小学生のころから試行錯誤を繰り返している、ということが、男子たちの会話で分かった。今から30年前は、コンビニ弁当にさえ麺がほとんどなかった時代だ。弁当箱にそうめんを詰め込んで来る中学生男子なんて、衝撃的にもほどがある。
驚愕のあまり、口をポカンと開いている私の視線なんぞ気にも止めず、
「今週もダメだったかー!」
だとかなんとか言いながらつゆをそうめんにぶっかけ、一気にかきこんで部活に向かうKくんの後ろ姿を眺めながら、
「か、かっこいい…!」
と小さく呟いてしまった。それが私の初恋だった。
好きなことには尽力を惜しまない、飄々として掴みどころのない少年
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Kくんとは小学校が一緒だったが、同じクラスになったことはなかった。