子育て情報『吃音は「しゃべりにくさ」だけの問題じゃない?『どもる体』著者、伊藤亜紗さんのトークイベントをレポート』

2018年6月21日 11:00

吃音は「しゃべりにくさ」だけの問題じゃない?『どもる体』著者、伊藤亜紗さんのトークイベントをレポート


吃音当事者のインタビューからまとめた『どもる体』を伊藤さんが語る

吃音は「しゃべりにくさ」だけの問題じゃない?『どもる体』著者、伊藤亜紗さんのトークイベントをレポートの画像

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2018年6月に刊行された『どもる体』は医学書院のシリーズ「ケアをひらく」の新刊。著者の伊藤亜紗さんは、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授で、これまでに『目の見えないアスリートの身体論』(潮出版社)など視覚障害に関する著書も手がけています。

吃音を題材とした今回は、伊藤さんが吃音当事者8人に丁寧にインタビューし、調査したことなどをまとめています。「しゃべりにくさ」という目や耳でとらえられる表面的なことで語られがちな吃音ですが、「連発」「難発」などの症状がある時、体の中では何が起きているのか。「治る/治らない」という考え方から離れ、これまでとはまったく違う身体的なアプローチで「どもり」の背景に迫ります。

今回のイベントは、刊行から間も無く開催されたため、「予習なしでもOKなゼミ」と銘打って開催されました。会場は満員です。前半は、書籍の内容に沿って、吃音の症状とその時に体や心の中ではどんな動きがあるのかをインタビューした当事者の声を交えて紹介しました。



しゃべりにくさという表面の問題だけではない、根っこの深い「吃音」

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伊藤さんが考える「しゃべる」ための要素は、「自分の体」「言葉」「社会(環境)」の3つがあり、その中心に「しゃべるわたし」がいて成り立っています。

伊藤さんは、自身に「母親」や「大学の教員」としての人格があることに触れ、「みんななんらかの人格があって、それぞれの社会的な要因の上で、演技をしてしゃべっている」と話していました。

それは、本当は言いたくないことでも、立場上言わなければいけなかったりすることで、「自分と言葉にギャップが生まれる」ということです。さらに重要なのは「ギャップはできるけど、本当の自分の確固たるものが存在するのでなく、ギャップとともに自分が形成されていくというのがしゃべるということ」なのだと言います。

これは吃音のある人に限らず、誰にでも当てはまることです。

吃音については、代表的な症状として最初の音を連続して言う「連発」、最初の音が出ない「難発」があることを解説。「難発」は息が詰まるような苦しさが体にあるのに対し、「連発」はとても楽な状態だといいます。しかし、会話をする上ではいずれも困りごとの原因です。

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