子育て情報『自閉症ラッパー・GOMESS「親が願う"正規ルート"からの脱却と、幸せにならなきゃいけない理由」――発達障害を描いたCMプロデューサーが聞く【新連載 #見えない障害と生きる】』

2020年8月3日 13:00

自閉症ラッパー・GOMESS「親が願う"正規ルート"からの脱却と、幸せにならなきゃいけない理由」――発達障害を描いたCMプロデューサーが聞く【新連載 #見えない障害と生きる】


発達障害当事者との対談連載、スタート

発達障害を描いたドキュメンタリーCM「見えない障害と生きる。」でプロデューサーを務めた東海テレビの桑山知之が聞き手となり、さまざまな発達障害の当事者と対談する連載がスタート。

連載初回は、このCMにも出演したラッパー・GOMESSを取材し、「家族と発達障害」について語ってもらった。


10歳の冬、診断は高機能自閉症…あだ名は“障害者”

GOMESSが初めてパニックを起こしたのは、地元のバザーに家族で行ったときのことだった。楽しむ母や姉を横目に公園でうたた寝をしていたところ、ふと首に違和感を覚えた。毛虫だった。GOMESSは、毛虫が大の苦手だった。

我に返ると、パニックを起こしたGOMESSは母親によって強く抱きしめられていたという。後日、家族に連れられ赴いた精神病院で、高機能自閉症という診断を受けた。
その後、症状が悪化するのを見かねた母は、小学5年の春、担任教師に相談した。自閉症とはどういうものか、子どもにも分かるような資料が朝の会で配られた。

「それが成功する可能性もあったと思うんですよ。でも僕の場合は違って。陰で言われてたのは、障害者とか、野獣とか、エイリアンとか……。どんどん学校に行きづらくなりました」

そこから5年間にわたり不登校、引きこもり生活を送ったGOMESS。今でこそ母の支えや頑張りが痛いほど分かるものの、当時は「お母さんが余計なことをしたから」と責めてしまったと振り返る。しばらくは母もなんとか学校に行かせようとしたが、GOMESSは強く抵抗した。


「本当に悪いことなんですけど、すぐに死をほのめかしてたんですよ。『そんなに言うんだったら学校に行くフリして死ぬけどね?』とか。『生まれてこなきゃよかった』とか、お母さんに直接言わなくてよかったようなこともいっぱい言いました」

3歳上の姉とは、自身が引きこもる前はケンカもしていたが、やがてほとんど会話もなくなった。避けられていた。「ずっと部屋で暗い顔してる弟は嫌だったんじゃないですかね」。

自閉症ラッパー・GOMESS「親が願う"正規ルート"からの脱却と、幸せにならなきゃいけない理由」――発達障害を描いたCMプロデューサーが聞く【新連載#見えない障害と生きる】の画像

Upload By 桑山 知之


担当医「この子にはできないことがある」親が考える“正規ルート”からの脱却

静岡県内の精神病院で診断を受けたGOMESS。代表的な楽曲の一つ『人間失格』にも登場する当時の担当医師“カゲヤマ先生”のある言葉で、家族の接し方は変わっていったという。

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