子育て情報『終わりのない当事者研究、続ける原動力は「苦楽を共にする仲間」ーー研究者・綾屋紗月さんインタビュー・後編【連載】すてきなミドルエイジを目指して』

2020年10月29日 08:15

終わりのない当事者研究、続ける原動力は「苦楽を共にする仲間」ーー研究者・綾屋紗月さんインタビュー・後編【連載】すてきなミドルエイジを目指して


当事者研究、仲間たちとの関係についてーー綾屋紗月さん

東京大学先端科学技術研究センターで、特任講師として発達障害の当事者研究(※)や、当事者研究の研究などを行っている綾屋紗月さん。幼い頃から家庭や学校で違和感を抱いていましたが、そこにASD(自閉症スペクトラム)の特性が関係していると知ったのは大人になってからだと言います。

インタビュー後半では、綾屋さんたちが取り組む「当事者研究」について、また活動を通して出会った仲間たちとの関係について、お話しいただきました。

当事者研究とは:
一人ひとりが自分自身の困りごとや生きづらさについて研究者となり、周囲の仲間たちと語り合うなかで困りごとへの理解を深めることや、よりよい付き合い方を探していく営みのこと。綾屋紗月さんが主宰する、発達障害当事者による当事者研究活動「おとえもじて」をはじめ、さまざまなテーマ・共通点ごとに当事者研究コミュニティがある。


当事者研究を続けるのは、新たな仲間に伝えたいから

――綾屋さんは、「当事者研究」をテーマに研究者として活動されていますよね。お仕事についてもお聞きしたいです。

綾屋:研究職に就いたのは偶然の重なりのようなもので、わたしはいただいた仕事を一生懸命やってきているだけという感覚があります。


自分たちの発達障害当事者としての経験をもとに当事者研究をするだけでなく、専門家の研究にマイノリティ当事者の視点を反映させるための研究をするのが、わたしの主な仕事です。どのようにしたらマイノリティの人たちのニーズや感覚からずれずに研究を進められるのかを突き詰めながら、組織づくりを考えたりしています。

終わりのない当事者研究、続ける原動力は「苦楽を共にする仲間」ーー研究者・綾屋紗月さんインタビュー・後編【連載】すてきなミドルエイジを目指しての画像

Upload By 姫野桂

綾屋:学術研究のフィールドでも、自分のマイノリティ特性を研究テーマとして掲げる人はまだまだ少ないので、そういった当事者としての視点も活かせる立場での働きが求められていると感じます。例えば、無理なことはしないとか、「こういう場面では無理をしそうになっちゃうな」ということにちゃんと気づいて記録し、そこにある苦労を細かく拾ったり、普通とは異なるオリジナルの方法で同じ目的にたどりつけるかどうかトライしたりして、発表という形で外に出していくとか。こうしてさまざまな人との人間関係や利害関係が広がっていったことで、当事者研究だけでは対処できない新たな苦労が発生し、当事者研究と同時に、「ソーシャル・マジョリティ」

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