子育て情報『1歳半健診で「指さし」がないことを指摘されたら?発達のプロセスや、発達障害がある子どもの傾向や練習法も【小児科医に聞く】』

2022年6月27日 16:15

1歳半健診で「指さし」がないことを指摘されたら?発達のプロセスや、発達障害がある子どもの傾向や練習法も【小児科医に聞く】


指さしは、「もの」と「ほかの人」とのコミュニケーション手段

「指さし」は、自分と対象物との間に、誰かが一緒にいるときにする動作です。自分が見ているものを、「とってほしい」「見てほしい」といった思いを一緒にいる人に伝えたいという気持ちがあるためにとる行動です。自分の興味がわかないものを指さすことはなく、興味をもったものをほかの人と共有したいという欲求がなければ、やはり指さしをするという行為に繋がらないでしょう。

では、指さしをするようになるまでには、どのような心と体の成長段階を踏むのでしょうか。

赤ちゃんは、周りの人と視線が合ったときに、笑いかけられたり呼びかけられたりすることで、自分がここにいることに気づきます。自分も視線を見ている人に向けて、笑い返したりすること、すなわち「アイコンタクト」をします。ここで、自分と相手(多くは保護者)との関係が生まれます。

やがて、赤ちゃんは周りにある物に触れようとします。
触れた物を握る力がつけば、手に持ってみて、振ってみたときに音が鳴ることを知ったり、手を離すと物が落ちるといったことも経験します。ここで、自分と物との関係が生まれます。

自分と大人/自分と物、それぞれの間にある関係を専門用語で「二項関係」と呼びます。やがて、二項関係があることによって、やがてもう1つ別の関係があらわれます。

周りにいる人が自分のほうではなく、少し離れたところにあるぬいぐるみに気づいて視線を動かすとします。するとそこには自分とその人だけとの関係ではなく、もう一つ別の要素が入ってくることになります。自分ではなくぬいぐるみを見ている、ということに気づいたときに、自分と相手とぬいぐるみという3つの「三項関係」ができます。ここが心の発達についてとても大事なポイントとなります。


三項関係ができることによって、相手が見ている視線の先を、子どもは追いかけるようになります。これを視線追従といいます。相手が見ているのが自分ではないとき、その視線の先にある物が電車のように動くものであれば、子どもは動くものに興味を引かれて電車を見るといったことがあります。

ここで、相手が見ている視線の先にあるものを「指さし」をします。そのとき、子どもは目の前に出された手や指ではなく、指が指し示す方向を見るかどうかが、発達の成長をみる大事なカギとなります。指と対象物の間に視線を導く線のようなものはなくても、その指さした先を目で見ることができれば、自分と物の間にある空間を理解できたということになります。

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