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ワンオペ育児、娘の癇癪に悩む日々。支えてくれたのは――娘の異変に気づいた幼稚園の先生の存在

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夫が単身赴任中の生活


娘が幼稚園年少の一年間、夫が単身赴任となり、私と娘は二人きりで過ごしていました。
夫は月に1、2回ほどのペースで赴任先から自宅に泊まりに来ていましたが、近くに親戚もいないなか、私は孤軍奮闘の日々を送っていました。
ずっと家にいると煮詰まってしまうので、平日は幼稚園のあとはそのままの流れで近くの公園で遊んだり、お友達を家に呼んだりお呼ばれしたりしていました。週末は娘と二人で電車に乗って、娘の好きなキャラクターグッズが並ぶお店巡りをしたり、子ども向けの無料遊園地などに行っていました。

夫が帰省中に起きたハプニング


ある週末、単身赴任先から帰ってきていた夫が、娘と二人で映画に行くと言いだしました。
夫は私をねぎらうつもりだったのかもしれません。

夫と娘二人だけの長時間のお出かけは初めてで、少し心配ではありましたが私は二人を見送りました。

子ども向けとはいえ、映画なら帰ってくるまで二時間ぐらいはかかるかな?
さて何をしよう?
久しぶりに座ってゆっくり紅茶を飲む?
ゴロゴロしちゃう?
掃除する?いやいや、それはないな…

降って湧いた一人の時間をどう過ごすかを考えていた私。


でも二人は一時間もしないうちに帰ってきました。

何があったのか夫に尋ねると


「映画館の駐車場で車を降りるように言ったら“降りないっ!”って大暴れしてさ。車のダッシュボードを蹴って壊したから映画を見るのはやめてそのまま帰ってきたんだ」

ばつの悪そうな顔で話す夫を横目に、急いで娘の様子を確認すると、涙の跡が残る頬が、うっすら赤くはれていました。

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たまにしか娘に会わない夫が、一人で娘の癇癪(かんしゃく)の対応ができるわけがなかったのです。
夫は娘を叩いてしまったことに、とても落ち込んでいました。
私は自分が一緒に行かなかったことを後悔しました。

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先生の顔色が変わる


翌日は幼稚園でした。

幼稚園の入り口で娘の頬を見た担任の先生は間髪入れずに私に尋ねました。
「お母さん、これはどうしたのですか?」

先生は娘の特性のことをよく理解していました。
そして夫が単身赴任でたまにしか娘に接する機会がないことも知っていました。

私と先生は、お迎えの時や連絡帳、電話や面談などの頻繁なやり取りによって、すでに何でも気さくに話し、相談できる間柄になっていました。なので私は前日の出来事も包み隠さず先生に話しました。

そして「娘本人にも話を聞いてみてください」とも伝えました。

それは見守りの証--時間をかけて培った信頼関係があったからこそ


娘が幼稚園でお友達とトラブルになったり、癇癪を起こしたりすることがあると、担任の先生と私は連絡を密に取り合い、娘にどう接するのが良いのかを一緒に考え、試行錯誤してきました。

以前もコラムで書きましたが、私は入園前からプレ幼稚園の先生にも子育ての相談に乗ってもらっていました。幼稚園と療育先の連携もとれていて、担任の先生だけでなく主任先生や補助の先生など、園全体で娘を見てもらえていました。
それらの積み重ねによって私たちの間には深い信頼関係ができていました。

私にとって子育ての協力者はまさに『遠くの親戚よりも近くの他人』でした。

あのとき、いつもニコニコしている先生の表情が一瞬で変わったことを、私は20年経った今でも鮮明に覚えています。

そしてそれは先生が私たち親子を注意深く見守ってくれている証だと感じ、とても心強く思ったことも――。

後日談

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執筆/荒木まち子

(監修:初川先生より)
癇癪やパニックがある、障害の特性によって育てづらさがある、そうなるとどれだけお子さんのことを大切に思っていても、子育てで煮詰まってしまったり、お子さんに対して不適切なことをしてしまう場合がある……。幼稚園の先生方はそのあたりも分かってお子さんの様子をよく見ていてくださったのですね。つまり、お母さん・お父さんとの関係も含めて見守っていてくださったということ。これはとても心強いですね。
お子さんと大人が2人きりでいると、どうしても煮詰まりやすいです。大人の目が複数あると不適切な関わりを避けやすい面もありますが、単身赴任であるとか、単身赴任中だからお子さんとの関わりに空白の期間があるとすると、誰のせいでもなく、やむなく大人一人で対峙する時間が多かったり、久しぶりに会うお父さんとだとお子さん側も安心できる「いつも通り」に事が運ばず戸惑ったりします。先生方がそうした中で、冷静にお子さんの様子を見てくださり、そこについて避けることなく言及し、保護者と話し合える関係性を築いてくださっているのはとても大切なことです。読者の方にとっても、そうした支援者がお近くにいらっしゃるといいなぁと思います。

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