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大好きな習い事なのに「私も辞める」の真意は?不安の強い場面緘黙娘に母が伝えたこと

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好きなことを楽しめるように


次女は幼少期から、工作したり絵を描いたりすることが大好きでした。

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ただ、家で親の手伝いのもと実施するのはどうしても限界が…。
2年生のときに、本人に、工作したり絵を描いたりできるようなアートスクールに行ってみてはどうかと聞いてみたところ、「行ってみたい!」とポジティブな返答がありました。
そこで、次女に合っていそうな、少人数で、かつ自分のペースでできるようなところを探しました。

見学・体験して長女と一緒に通うことに


このとき4年生だった長女も興味を示してくれたので、2年生の次女と一緒に見学・体験してみることに。
子どもたちが10人弱で先生が2人という少ない人数だったうえ、ほとんど話さなくても何とかなる状況で、次女にとって負担が少なく楽しめた様子。

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長女も楽しめたようで、2人一緒に同じところに通うこととなりました。

長女が辞めてしまって、次女も辞めたがった


1年少し通ったころ、長女が「辞めたい」と言い始めました。


最初のころのように楽しめなくなったとのことで本人の決心は固く、長女はそこで辞めることに。ただ、次女は、長女が休むときは一緒に休んで一人で行くことは全く無く、一緒だったから通えていたという部分が大きかったので、次女も辞めると言い出しそうで心配していたら、案の定「私も辞める」と言い始めました…。

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好きなことは続けて欲しい


次女に詳しく話を聞いてみました。
すると、次女は「作ったり描いたりするのは好き」「アートスクールは楽しい」けど、「先生と話ができない」「一人で行くのは不安」との話でした。

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せっかく好きで楽しく通えているので、長女が辞めてしまったとか話せないという環境のせいで辞めてほしくないというのが私の気持ちでした。

今の次女なら一人でも行けそう


きっと、通い始めのころだったら次女の不安もかなり強かったと思います。ただ、すでに通い始めてから1年以上経過しており、アートスクールの担当の先生もずっと変わらない。さらに、このときは3年生の3学期で、次女自身も成長し、学校での生活も順調に過ごせていて安定している…。


今なら少し頑張ったら一人で行けそうだと思いました。
次女は漠然とした不安感のことが多いので、具体的に、「今のあなたなら一人で行けそう」という上記の理由を話して、何かあったときは電話してもらえればすぐに駆けつけることを保証して少し無理やり送り出したのでした。

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それから…


迎えに行ったら、いつも通りに過ごせたようで、変わらない様子で帰ってきました…!行ってみて「一人でも大丈夫そう」と感じたようで、その後も一人で通っています。

アートスクールに通い始めてから、今年で3年過ぎました。この習い事に関しては、「できるようになる」とか「役に立つ」と考えて始めたのではなく、「楽しめる」のを一番の目的にしたので、次女には負担が無くて継続できたのではないかと思いました。

これからも、次女が楽しめる限り、続けていってくれたらいいなと思っています。

執筆/まりまり

(監修:新美先生より)
場面緘黙のある方は、不安を抱きやすいことが多く、環境に慣れるのに時間がかかる場合もあります。話すことができないために、突発的なことが起きたときに困るかもしれないという不安もありますね。
今回聞かせていただいたエピソードでは、1年間お姉ちゃんと一緒に通って場に慣れて、ご本人も安定した状態だったのでスムーズに一人で通うことができるようになったというお話でした。一人で通えることで自信もついたことでしょうね。特性によって楽しいことを楽しめる場が制限されるのは残念なので、今回伺ったエピソードでは「お姉ちゃんと一緒に1年間」ということでしたが、例えばお母さんが付き添いをして半年通って、慣れたら付き添いをやめるなどと応用できそうなエピソードかと思いました。ありがとうございました。

コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。

ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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