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「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

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過去の自分と重なった後輩ママさん

「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

Upload By ぼさ子

2023年が明けたころ、私の住む地域にも次年度小学校入学予定のお子さんに向けて入学決定通知書が届けられました。そして間もなく療育の先生から「ほぺろう君と同じ学校に入学する事が決定したお子さんを育てるお母さんがいるのですが、その方とお話してくれませんか?」という依頼が。

過去に私も、身近に同じ境遇の方がいなくて「誰か先輩を紹介してほしい」と療育先にお願いした経験があったので、私でお役に立てるなら…と引き受けさせていただきました。

お会いしたママさん(以下、後輩ママさん)のお子さんもほぺろうと同じく自閉スペクトラム症の診断。後輩ママさんの「私は今まで同じ境遇の人に会ったことがなかったんです」という言葉にハッとさせられました。この後輩ママさんは過去の私だと。

不安感・疎外感…。「頑張らなきゃ」と感情を押し殺して毎日を乗り越える育児。
自分と重なるほかの人に会ったことで「本当はいろんな感情があったんだよな…」とあふれてくるものがありました。

私の居住地ではまだペアレント・メンターなどの地域内での繋がりが整備されていないので、後輩ママさんの依頼を受けたとき「よくぞ勇気を出して誰か紹介してほしいと相談してくれた」と思いました。

同じ地域の先輩だからこそできる話

「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

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後輩ママさんは進学についての不安を持っている様子で、主にほぺろうが通う特別支援学校のことや準備についての話をさせていただきました。大半の子どもたちとは違う進路に行くことによる情報の少なさ・不安感を一年前の私も抱えていたよなぁ…としみじみ。

この日は、以前に私もお世話になった先輩ママさんも同席してくださっていたので、一緒に「この特別支援学校で準備する物、放課後等デイサービス、移動支援サービス、病院、この地域での療育手帳の使い方」などなどの情報を伝えました。

私が話した内容はすべて かつて先輩ママさんから聞いた話の受け売りですが、過去の私は先輩ママさんにすごく救われたので同じ話をせずにはいられませんでした。

先輩ママさんからもらった大切なもの

「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

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過去、それまで同じ境遇の方に会ったことのなかった私が初めて先輩ママさんにお会いしたとき、育児についてや地域ならではの情報を聞けたことももちろんすごくためになったのですが、一番良かったと思えたのが「先輩ママさんの表情を見られたこと」。

このとき、先輩ママさんが不幸そうな顔をしていたら今の私とは違っていたでしょう。
お子さんはほぺろうと状況が似ていたので大変な思いもたくさんしてきただろうと容易に想像できましたが、先輩ママさんの穏やかな空気から「ああ、この人は今 幸せなんだな…」と希望をもらえたことを憶えています。私は今でもここが自分のターニングポイントだったと思っています。

今回後輩ママさんとお話したとき、同じ進路の子どもを持つ親として私もそんな空気感を出せていたらいいな~なんてチョッピリ意識してしまいました。

後輩もいつか先輩へ。つながるバトン

「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

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ほぺろうの人生はまだまだこれからだし、障害児育児の先輩と言うには早い私(むしろまだまだ後輩)ですが、今回自分の経験を誰かの役に立てるという機会をいただけたのは、私でも少しは成長した?次のステージに立てた?そして何より、ほぺろうの存在が意味のあるものになったという気がして感慨深かったです。

闇の中にいる感覚だった時代の自分に「そんな日が来るよ」と教えてあげたい。月日を経ながら先輩ママさんと後輩ママさん両方と接することができて「これはバトンなんだ」と感じました。

最後に、新しい進路を行くお子さんたち、ご入園ご入学おめでとうございます!そして ここまで頑張って育ててきた親御さんたちを褒め称えたい!みなさんにとって希望いっぱいの未来になりますように。

「同じ境遇の人に会ったことがない…」後輩ママとの出会いで入学前を思い出しーー自閉症児ママとして先輩になった日

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執筆/ぼさ子

(監修:初川先生より)
特別支援学校に通う子どもを持つ先輩ママとして後輩ママさんとお話をされたのですね。
情報の少なさもそうですが、保護者としての心がまえやありようについてのモデルとして、以前ぼさ子さんが助けられたように、今度はぼさ子さんが助ける側になる。ただ助けるというだけではなく、ご自身のこの1年を振り返り、ほぺろうくんやぼさ子さんの成長を感じる機会でもあり、以前お話を聞いた先輩ママの素敵だった笑顔を思い出す。なんと素敵な循環だろう、なんと素敵な機会・ご縁なのだろうと思います。いい意味での「持ちつ持たれつ」が機能しているように感じました。「あのころは私も不安だった」「後輩ママさんは過去の私だ」。日々子育てでみなさん奮闘されていることと思いますが、立ち止まって振り返ってみると、実は結構たくましく成長していたりしますよね。不安の内容や質も以前とは変わっていたり。いろいろな意味で、とても素敵なメンター経験になられたことと思います。


コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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