「自閉症息子の癇癪を防ぎたい」環境が変わる新学期、配慮を依頼した母がハッとした先生の言葉
いつもと違う!新学期は変化だらけ!
発達障害のある子どもの中には、場所見知りや人見知りがある子どもがいると思いますが、新しいクラスになると、教室が変わって大丈夫かな?先生やお友達が変わって大丈夫かな?と新生活への期待よりは不安のほうが勝ってしまうことがあると思います。
私も毎年新学期になる度にそのような不安を感じていました。
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少しでも不安を和らげるために…
療育園ではそんな私たちのような親子の不安を、少しでも和らげてくれるさまざまな対応をして下さっていました。例えば新学期になると靴箱の場所が変わるので、その時点でパニックになってしまう子どももいます。
療育園では、一人ひとり自分のマークがあるので靴箱に貼ってあったマークを新学期には先生が全て貼り直してくれています。子どもたちは自分のマークが貼ってある靴箱の場所を確認し、その後新しい教室の入り口でも自分のマークを確認してから入室することで、「今日からここが自分の靴箱や教室なのだ」と認識することができるのです。このような工夫によって、新しい場所でもなるべくスムーズに誘導できるようにしてくださっていました。
また、担任の先生が全て変わらないように昨年担任だった先生のうち1人は引き続き担任になってくれるので、親と先生との間の引き継ぎもスムーズに行えます。
新しい担任の先生の中に知っている先生が1人でもいるだけで親子共にとても安心できました。
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それでも、新しい環境は子どもにとっては大変です。Pは年中から年長になるとき、前のクラスでお気に入りだった玩具がクラスが変わってからは使えなくなったことで、玩具を片づける扉の前で玩具を出すようにと先生に要求し、出してくれない場合は癇癪を起こしてしまうこともありました。
私は先生に、前に遊んでいた玩具を出してもらうことは可能ではないか?と聞きました。すると先生は「できれば玩具を出してあげたいのですが、新しいクラスではP君の遊んでいる玩具を見て、自分も遊びたいと取りに来るお子さんもいます。それが原因でトラブルになってしまう可能性もあるので、申し訳ないですがP君には我慢してもらって、クラスに慣れるまでは今ある玩具や絵本で遊んでもらえたらと考えています。」と言われました。
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新学期に不安になるのはわが子だけではない!
私はP自身が落ち着くことばかり考えてしまっていましたが、先生はクラス全体が落ち着いて過ごせるように考えたうえで対応してくださっていることが分かりました。
クラスのみんなが落ち着くことがPも落ち着くことにもつながるんだと思いました。先生は前のクラスで使っていた玩具をPに諦めてもらうために、Pが好きそうな動物の絵本やカードなどを新しく増やして与えてくださっていました。そして私へも、連絡帳や電話で毎日の様子を伝えてくれて、私自身もマメに見学へ行きPの療育園での様子を見ることで安心することができました。
新学期はいろんな困りごとが出てくる可能性が高いですが、たとえ困ったことがあっても本人の様子を観察し、どこまでなら我慢できるか?できないか?などを考えながら、一つひとつ対応して、それを積み重ねることでいつの間にか新しい環境にも慣れ、また新たにルーティンを作り出し、落ち着いて過ごせることもできるようになると思います。そしてわが子だけでなく同じクラスのお友達が落ち着いて過ごせる環境をつくるのも同じように大切だと思います。最初は大変なこともありますが、焦らずに対応できるようにしたいと思います。
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執筆/みん
(監修:新美先生より)
療育園での新学期の環境変化についての工夫を聞かせてくださいましてありがとうございます。
新学期の環境変化は、自閉特性があるお子さんにとってストレスになるものです。
クラスが変わっても、自分のマークが同じで、マークで自分のもの・場所が分かるという仕組みは低年齢のお子さんにとっても分かりやすいですね。療育園だけでなく通常の保育園でもどこでも誰でも、このようにマークを引き継ぐということをしてもらえるといいですね。
今までOKだったことが、できなくなるということは本人にとっては混乱してしまうことです。このようなことがあることは当然なのですが、その場合も本人の理解度に合わせて視覚支援などを使って、新たなルールを説明してもらえると早く納得できるかもしれません。新学期の環境に慣れるまでは、園や学校では混乱したり我慢したりすることが続くので、しばらくは自宅での活動でゆとりを持てるよう意識するといいかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。
ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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