入学式で自閉症息子が絶叫!「行事全て欠席させたい」と思ったけれど。給食、授業、友達トラブル…特別支援学級での1年を振り返って
恐れていたことが起きた入学式
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まちゃは年長のときに特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いましたが、特別支援学級に入れることにしました。
入学式の当日。会場の体育館には、新一年生になった子どもたちとその親御さんと先生たちが集まっていました。まちゃはマスクを嫌がり、隣について下さった先生がマスクをつけようとするたびに、静かな体育館の中で「ちゃうよー!」と叫んでいました。ほかの新1年生が起立したりお辞儀したりする中で、まちゃは飽きたとき用にと持たせた絵本を読み、周りと一緒に行動しようという意思は全く感じられません。絵本に飽きるとイスからずり落ちて床に寝そべって何やらしゃべっていました。
まちゃは未就学のときに療育園に通っていて、私は何度もマジックミラー越しに見学をしましたが、ここまで周りとは別の行動をしている姿を見たことはなく、私は入学式で特別支援学級に入れた選択は間違っていたのかもと思いました。ショックで行事はこれから全て欠席させようかと思ったほどです。
それから、まちゃはひどい偏食で療育園の連絡帳に「食べた給食は米3粒」と書かれたこともあり心配していました。特別支援学級での初めての給食は大泣きしてしまいほとんど食べなかったそうです。
特別支援学級に入学し、どうなることかと思ったけれど
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まちゃは多分同学年の中でも自宅が1番遠く、学校まで30分ほど私と一緒に歩くのですが、毎日嫌がらずに黙々と登校しました。毎日1時間目の授業は広い校庭で行う体育なので、運動が大好きなまちゃはそれが楽しみで通えていたのかもしれません。
まちゃの好きな動物の絵本や絵カードも担任の先生が揃えてくださり、平仮名や数字の課題が終わったら見ても良いことにしてくれました。
初日は大泣きだった給食ですが、翌日からは個々人に応じて量も変えて下さったので、偏食なまちゃがほぼ毎日給食を完食することができました。
まちゃが好きな図工の時間も多く、描いた絵を教室に積極的に貼ってくださいました。
夏休み前の先生との面談で私は「入学式はびっくりしました」と明るく話せました。
担任の先生は「まちゃくんはとても成長しました」と仰ってくださいました。ほかにも畑での水やりが上手だとか、通常学級との合同の授業も特に嫌がらず大人しく受けていると報告してくださいました。
クラスメイトはまちゃと似たタイプの、周りの人への興味が薄いお子さんが揃ったとのことで、静かで勉強しやすい環境が整っているとも聞きました。小学校への行き渋りは全くありませんでした。
2学期からの教室のメンバー変更。クラスメイトからの指摘がストレスに
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2学期に入り、ほかのクラスの先生が長期でお休みをされる関係で、1クラスの人数が増え、まちゃはほかの学年の児童と同じクラスで勉強することになりました。
1週間程してから、通っていた放課後等デイサービスの方から「まちゃくんが今まで見たことがない様子になっています。特別支援学級やご家庭に何か変化はありましたか?」と聞かれました。今までトイレで失敗することはなかったのですが、トイレは空いているのに室内で急に笑いながら排尿したとのことでした。
「錯乱状態、パニックです」と言われてしまいました。ちなみに自宅では変わった様子はありませんでした。
すぐに小学校の担任の先生に相談したところ、新しく同じ教室になったお子さんが切り替えが苦手なまちゃに「もうやめなきゃダメだよ」とよく指摘していて、まちゃは嫌がっていたとのこと、クラスの人数が増えたことで担任の先生が以前よりまちゃへの対応ができなくなり、補助の先生にまかせていることの2つが思い当たるとのことでした。
担任の先生は「すぐに対応します」と言ってくださいました。先生はまちゃを急かすお友達の席とまちゃの席をなるべく遠くにして、できるだけ担任の先生がまちゃと一緒にいてくれるようにしてくださったそうです。まちゃは放課後等デイサービスでもすぐに落ち着き出したと報告されました。
1年生終盤。3学期で急に変化が見られるように
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3学期の終わりの修了式でまちゃは、人でいっぱいの体育館で30〜40分、周りの様子を見て一緒にお山座りをし、一緒に立ってお辞儀もしていたそうです。私が教室を覗いたとき、苦手だと聞いていたお友達の体操服を着るお手伝いをしていてびっくりしました。
自宅では教えていないのに、急にお父さんの飲んだお酒の缶を潰して缶ゴミを入れる袋に入れてくれたり、タオルを畳んでしまってくれるようになりました。放課後等デイサービスに持たせたお弁当箱を「出して」とお願いしたら蓋も開けて、カトラリーも全部出して、たまに洗ってくれるようになりました。
偏食のまちゃは、好きな食べ物は独り占めしていました。これまで好きな物を誰かに分けると怒っていたのに、「私も食べたい!」とお姉ちゃんが言うと食べるのをピタッと止まり、分けても怒らないようになりました。食べられる物もかなり増えました。
周りを見て行動できるようになったようです。表情も反応もとても増えて、公園に行ってもほかのお子さんを避けなくなりました。
発語はそれほど増えていませんし、平仮名はまだ1文字ずつ繰り返して覚えている段階ですが、1年間でだいぶ成長を感じられるようになりました。
執筆/カタバミ
(監修:新美先生より)
入学当初の混乱から、さまざまな工夫を経て、環境にも慣れて、急成長していく1年間を振り返って教えて下さりありがとうございました。
どの環境を選んでも、入学当初はお子さんにとって大きな環境の変化で、不安が大きいものです。慣れない環境では気持ちが落ち着かずそわそわして、普段はしないような行動に出ることがあります。行動自体に翻弄されず「慣れてないから不安なんだな」と理解して対応していけるとよいですね。
学校生活では、本人が学校に来るモチベーションが持てるような随所に配慮していただけて、行き渋りなく通えているというのは何よりでした。
様子の変化に、放課後デイの方が気づいてくださり、学校との連携がとれたのも素晴らしいですね。学校での不安やストレスが、学校ではそのまま出ないで、放課後の情緒や行動の変化に現れることもよくあります。その場だけで判断せず、本人の生活の場の関わる方たちが連携して、環境調整に動いてもらえる体制は理想的だと思いました。
本人にとって、ストレスがある状況が続くと、成長が止まってしまったり退行したりしているように感じる時期もあるのですが、環境に慣れて、活動の中で自信がついてくると、一気にさまざまなことができることようになるということもよく経験します。ストレスが少なく心のゆとりが出てくると、自立できる場面が増えたり、他者への興味が増えて良い関わりができるようになるということもありますね。まちゃくんにとって良い環境が整って、本来持っている力を十分に発揮する姿を見られるのは、親御さんも関わる先生方もとてもうれしいですよね。良いお話を聞かせていただきありがとうございました。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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