愛あるセレクトをしたいママのみかた

自閉スペクトラム症の特徴、原因、治療方法、併存しやすい疾患とは?自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症とは何が違うの?【保存版!発達ナビASDコラム一覧/専門家監修】

LITALICO発達ナビ

自閉スペクトラム症(ASD)とは?


自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。
※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。

自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。

知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00807.html
参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省

自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。

自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。
また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。

癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。

自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?


広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。

アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。

DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。


https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361233.htm
参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省

高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。

DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361233.htm
参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省

自閉スペクトラム症の特徴、原因、治療方法、併存しやすい疾患とは?自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症とは何が違うの?【保存版!発達ナビASDコラム一覧/専門家監修】

Upload By 発達障害のキホン

自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状


自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。

約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html
参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット

ADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。

限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。
医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html
参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm
参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省

発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。

知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。

場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。

自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム


自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?

大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム


自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。


コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード