障害児とキャンプは無謀!?偏食どうする?持ち物は?家族の時間をあきらめない工夫
障害のあるわが子と一緒にアウトドアを楽しみたいけれど…
わが家はキャンプやバーベキューなどアウトドアで活動する機会が多いです。そんな私たち家族を見て、友人から「障害のある子どもを連れてのキャンプって大変じゃない?」と聞かれることもたまにあります。普通に生活するだけでも大変なので、それはもちろん「大変」なのですが、そんな中でも楽しく過ごせるようにさまざまな工夫をしています。
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まず、Pを連れてのキャンプでは、何よりも安全を重視しないといけません。キャンプ場によっては川や海が近くにあったり、急な段差など足場が悪いところがあったりと、自然の中では100%安全な場所は存在しません。Pは水が好きだし高いところも好きなので、キャンプへ行くとPから目を離す余裕は全くなく、私は常に周りを見ながら危険を予測、予防しながら過ごしています。
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自然の中は危険がいっぱい!何をどう注意すれば良い?
それでも疲れたときやトイレに行きたいときなど目を離さざるを得ない場面があります。そんなときは必ず夫にPを見てもらうよう声をかけ、Pには安全のために車の中やテント、ハンモックの中で少しの間待ってもらうこともあります。
小さいときにはハーネスも役に立ちました。また私たちの近くで過ごしているほかのキャンパーに迷惑がかからないように注意することも必要です。そのようなストレスを少しでも減らすために、キャンプ場を選ぶときはできるだけハイシーズンを避け、人が多く混雑しそうな人気のあるキャンプ場は、最初から選ばないようにしています。たとえ施設の設備があまり整っていなくても、人が少なくて安全な場所を選ぶようにしています。それでもどうしても大変そうな場合は、テント泊ではなくロッジやコテージ泊などを選択するのも良いと思います。
偏食のわが子の食べものはどうする?持って行くおもちゃは?
次にアウトドアでの食事ですが、偏食のPはキャンプで食べられるものが限られてしまうので、Pが食べられるパンやお菓子はもちろん、バナナやコーンフレーク、パウチゼリーなど常温で置けて食事の代わりになりそうな物をたくさん持って行っています。アウトドアに持って行くおもちゃも、いつの間にか落としたり無くしたりする可能性があるので、1番のお気に入りではない物を少しだけ持たせています。もし落としても探しやすいよう目立つ色や大きさの物、そして最悪無くしたとしても、またすぐに買える物を選んで持って行くようにしています。
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アウトドアで過ごすのは大変だけど経験を積み重ねると…
キャンプに興味はあっても障害児を連れてはなかなかハードルが高く踏み出せないこともあるかもしれません。想像するだけでも大変なことのほうが多いですし、実際、楽しさより疲れが勝ってしまうかもしれません。でもわが家の場合、確かにかなり大変ではありましたが、幼いうちからキャンプに慣れさせて、外で過ごす経験やどんな場所でも寝る経験を積み重ねてきたからこそ、Pが7歳になった今では、キャンプへ連れて行っても幼いときほどのこまり感は減りました。Pの行動も大体予測できるようになったので、不安やストレスはかなり減り、私もキャンプをゆっくり楽しめる時間がつくれるようになりました。良い意味で親子共に年々アウトドアでの活動に慣れることができています。
これからもPと一緒にアウトドアを楽しみたいと思います。
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執筆/みん
(監修:新美先生より)
キャンプなどアウトドア活動での工夫について、具体的な工夫を詳しく教えてくださりありがとうございます。
キャンプ自体に慣れない人から見れば、危険も多そうなアウトドアにわざわざ連れて行かなくてもいいのではないかと一瞬思ってしまいがちですが、とてもしっかり対策をしたうえで家族で楽しまれているのは素敵だなと読ませていただきました。
親やきょうだいのもともとの趣味や家族で楽しんでいた活動に、特性の強いお子さんを参加させるのには苦労もありますが、スモールステップで少しずつ慣れていき、さまざまな工夫をして一緒に参加できるようになれるのはとてもいいですね。特性の強い子どもがいるからと、あきらめずに、準備して工夫して安全を確保して、いろんな活動を広げていけるのは、親子ともどもに生活の充実になり大事なことだと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。
論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。