小6のADHD次男。黒板を写せない、机に向かえるのは20分未満。特性に合った中学校選びはどうする?事前準備に奔走
小学校では、板書ができないのでノートは真っ白
Upload By スガカズ
発達障害のある次男は4月から通常学級の中学校に進学しました。
私は次男が小学校のときから、次男の学習面に対する心配がありました。なぜなら書字に対してかなり苦手意識があり、学校ではノートをとらないからです。読字も本人が嫌がるため、学校の教科書以外で本を読む機会はほとんどありません。
プリントやテストなどは本人の調子がよいときには取り組むことができますが、白紙の解答用紙を見続けると、やはり心配になります。
文字(漢字)を見ながら正確に書き写すことはできるのですが、「目の往復運動が疲れる、書き間違いを直したくない、文字の読み書きをする必要性を本人が感じていない」などの理由から、家庭でも書字を含んだ学習は難しいです。
1日の中で、机に向かうことができる時間は10分~20分。宿題という「きっかけ」があるから机に向かう訳ですが、想定以上の時間がかかると、途端に機嫌が悪くなり、続行は難しいです。
そのため一度習った漢字は定着せず、ぼんやり理解している状態で授業がどんどん進んでいきます。そして、それは国語だけではなくほかの教科でも同じようなことが言えます。
小6では、本人のレベルに合わせた宿題を、先生の了承をいただいた上で取り組ませていました。
Upload By スガカズ
中学校選び、特別支援教室に入室する準備、合理的配慮の準備
Upload By スガカズ
中学校では学習の難易度がグッと上がりますし、自立を求められるため、発達障害のある子どもが小学校のときと同様の配慮をしてもらうことは難しいとよく耳にします。
そのため私は、「次男の中学校生活が、楽しいものでありますように」と願いながら、1年間進学の準備をしてきました。
配慮を得るためにはまず「できるだけ本人の特性に合った学校を選んだほうがよいのではないか?」と考えました。
近隣に、特別支援教室の拠点校(A校)がありました。そこは、1学年あたりの生徒数が100人以下の学校で、1学年あたり2〜3クラスで構成されています。
そのため、環境がガラリと変わる中学校生活の中で、比較的落ち着いて過ごすことができるのではと思いました。また、特別支援教室の職員室があり、巡回していたとしても週2日は先生がいるようでした。
何かトラブルがあった際に本人の居場所を確保しやすそうですし、私自身も特別支援教室に連絡をしやすそうだと思いました。中学校卒業後の進路についても、拠点校であれば発達障害のある子どもがどのような進路を選んだのか前例が聞きやすいのかもしれないと思いました。
実は、次男本人はもともと、別の中学校(B校)に行きたいと言っていました。ですが、生徒数が多く、生徒への目が行き届いているのか首をかしげる噂も多いです。また、なぜその中学校がいいのか尋ねると、次男がその中学校に行きたい理由が「何人かの友達に誘われているから」といったものでした。
私が頭を悩ませていると、同じ小学校に通う息子の親友(発達に凸凹がある男の子)のママも、私が希望するA校に子どもを通わせたがっていることを知りました。
そこで、親友のママと話し合い、次男と親友が同じ中学校に通うように働きかけました。
ただ、いくら環境が本人に合っていそうでも、本人自身が納得していないと、中学校で何か問題にぶちあたった際に親子の信頼関係にひびがはいってしまうかもしれません。「オレは違う中学校に行きたかったのに、お母さんに勝手に決められた」と言われたら私は何も言い返せなくなると思います。
まず私は、A校とB校の特徴を次男に説明することにしました。また、私自身が中学校生活を送った際の経験も話しました。
小6のころには次男自身、「自分は発達障害がある」ことを理解していたからなのか、意外にも私の話に耳を傾けてくれました。
私の話を聞いてしばらくして、次男は「親友がA校に通うのならいいよ」と言いました。
親友も同様に「次男もA校に通うならオレも通いたい」と言いました。
こうして、無事に拠点校である中学校(A校)に決まりました。
小学校で特別支援教室に入るときと同様に、準備をしました。
説明会、体験、判定会議などを経て、無事に12月初旬に特別支援教室の入室許可を得ることができました。ただ、その時点でA校(通常学級)からは中学校の決定通知書が来ていなかったので、本当に通えるのか分からず、12月末に通知書が届くまでは心が落ち着きませんでした。療育センターの小児精神科医に相談しました。WISCのほかに読み書きスクリーニング検査、言語療育(読み書きトレーニング)も通いました。
読み書きスクリーニング検査の結果と過去の経験をもとに支援の内容を簡易的な書面にしました(具体的すぎたり、長い文章だと通常学級の先生にとって負担になるのではないか。また、細かく指摘することで、私自身も思うようにいかなかったときに学校に不信感を抱いてしまうのではないかと思ったため、あえて簡易的にしました)。
また、医師から学習障害の診断書もいただき、事前に学校に相談することにしました。
中学校の先生と事前面談
通常学級で過ごすために事前に次男の特性の共有と、可能ならば合理的配慮をお願いしたいと思い、入学式の前(4月頭)に面談をさせてもらうことになりました。
事前面談で、小学校に就学してから今まで受けた検査の結果、診断書、特別支援教室の連絡シート、個人で書き起こした書面を持参し、過去の体験を交えて共有しました。
・上下関係があると感じるような高圧的な関わり方は避けてほしいこと
・自分のイヤな気持ちや、行動の理由を言葉に説明することが苦手で、クールダウンが必要なので、トラブルがあった際には、時間をおいて可能であればあとで聞き出してほしいこと
・本人自身、怒ってしまう性格を中学校生活できちんと直したいと思っているので、それについては頭に留めて(仮に怒ってしまったとしても、本人が怒りたくて怒っているわけではない)いただきたいこと
・小学校では、文字を書かないが耳で聞いて授業の内容を概ね理解できていたこと
・板書をしていなくても注意しないでほしいこと
・板書が難しい場合、黒板の内容を写真で撮りたいこと
・課題は可能であれば取り組ませるが、現時点では難しそうなので、基本的には静観してほしいこと
Upload By スガカズ
通常学級の先生(のちに、次男の担任の先生だと判明)と、特別支援教室の先生(主任と次男の担当の先生)と4人で面談ができ、情報共有や理解を円滑に行うことができました。また、配慮についても了承していただけました。
わが家の場合はスムーズにいったけれど…
中学校との事前面談が終わってから、安堵の思いで「事前面談で理解してもらえた」ことを他者に共有したことがあります。その際に改めて感じたこととしては「地域や学校によって対応がまちまち」であること…。
次男の中学校は拠点校なので話が進めやすかったのも理由の一つかもしれませんが、拠点校といっても、別の地域では理解してもらえなかったというお話も伺いました。
私たちは子どもたちの環境を模索しますが、普段(子どもが学校に通っている間)は遠くから見守っている側です。教育現場では、「だれもが平等に教育をうける権利がある」としながらも、人手不足や自治体の予算など、さまざまな理由から実現が難しいというお話もうかがいます(合理的配慮を受けることが難しい環境があることも耳にします)。
わが子を思って同様に行動したはずなのに、同じように支援が受けられないことはやはり同じ親としてはつらいものがあります。次男よりも若い子どもたちのうち、1人でも多くのお子さんの学校生活が、楽しいものでありますようにと願わずにはいられません。
執筆/スガカズ
(監修:新美先生より)
中学校への進学に際しての準備について詳しく教えてくださりありがとうございます。
思春期真っただ中の中学生は、自分のことは自分で決めるということを尊重していくことが大事です。とは言え小学校から中学校へは環境が大きく変わり、子どもにとっては中学校は未知の世界です。保護者として必要な情報収集をして、中学の環境の選択に際して本人に、進学先のメリットデメリットや、小学校との違いを本人がイメージしやすいように説明することで、本人が理解して納得して自己選択するというプロセスがとても大切になりますね。
スガカズさんが記事でご紹介いただいたように、大人が良かれと思って勝手に進学先を決めずに、丁寧に説明して、ご本人が納得して中学を決められたのは良かったですね。理解のある担任に恵まれたことも事前の情報収集が功を奏した結果と思われました。
記事の末尾のご意見のように、地域差や学校間差(人による違いも含めて)は残念ながらよく聞きます。それでも、こういう合理的配慮があると、このようにスムーズに生活できたという好事例を公表していただき、実績が積み重なることで、どこの学校でも、どこの地域でも、よいやり方を取り入れていこうという風潮がどんどん広まることにつながると信じています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
この記事もおすすめ
提供元の記事
関連リンク
-
コーチ一家が好き勝手やるチームでハブられ親子で孤立、持ち家だけど引っ越してまで移籍させたい問題
-
クリスマス絵本&お風呂おもちゃが大活躍!2歳児ママが選んだ12月購入品8選 | HugMug
-
もっとも泣ける!? いい人すぎる「まさお」の生涯をたどる体験型展示が東京ほか全国5都市で開催
-
新感覚!リング形状×国産米の米粉100%の麺【こめまるめん】を2025年12月25日(木)より発売
-
学研教育総合研究所調べ お正月にもらったお年玉 小学生では平均23,158円、中学生では平均29,533円、高校生では平均27,724円 小学生と中学生は前回調査から2,000円以上増加、高校生は前回調査から減少