1歳半健診でひっかかる?指さし、積み木、発語も不安。面談で脱走、歯科医をキック!?ハプニングだらけの健診の結果は…
1歳半健診が近づくにつれ、募る不安
1歳を過ぎると歩いたり少し言葉を喋るようになったりと、目覚ましい成長を見せる息子。そして気になってくるのが1歳半健診のことでした。すでに健診が済んだお子さんのママたちから、身体測定などに加えて、『発語の様子』『指差し』『積み木を積めるか』といったことをみられたり、保健師さんや医師からのヒアリングがあると聞きました。
1歳半健診の話題が出たのは、息子が1歳過ぎの頃。その当時は健診項目ができていなくても「そのうちできるかな」とのん気に構えていました。しかし息子が1歳半に近づくにつれ、「あれ、そういえばできていない?」と気づき、焦りはじめました。
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多動傾向があり落ち着きがない息子。言葉も遅めで、1歳半の時点で意味のある言葉は「オイシー(美味しい)」のみでした。
指差しをする様子もないので、いろんなものの名前を言いながら指さして見せても、息子はまったくといっていいほど反応をしません。積み木は積まず、打ち鳴らすばかり……。
最終的に健診の数日前に、「カーカー(カラス)」と「あった!(〇〇あった)」を言うようになり、積み木もようやく積めるようになりましたが……不安な気持ちで当日を迎えました。
落ち着けない身体測定・内科健診
1歳半健診の会場に着くと早速走り出す息子。いつも通りの息子の様子に「やれやれ」と思ったと同時に、周りの様子を見てびっくりしました。大体の子どもがイスに座っていたり、立ち歩いていても親の近くから離れないのです。
一方の息子はというと、会場前のロビーで目についた気になるものを見つけては走り出して触ったり、階段を行ったり来たりで落ち着きがありません。「おとなしく座って」と言っても無理だと思ったので、健診の順番が来るまで廊下や階段を行き来して過ごしました。
順番が来て会場内に入ると、まずは身体測定と内科健診がありました。身長・体重・頭囲・胸囲の測定はおとなしく測られていました。内科健診も同様に、おとなしく私の膝の上で診察を受けていました。
こう見ると特に問題なく見えるのですが、大変だったのは待ち時間。数分程度の待ち時間でさえじっとできず、持参した息子の気を紛らわせるためのアイテムを早々に使い果たしてしまいました。必死な私は会場の壁に人気キャラクターのイラストが貼ってあるのを見つけて「ほら見て!」と声をかけてみましたが撃沈。息子は赤ちゃんに大人気のキャラクターでさえまったく興味がなかったのでした……。
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保健師との面談、最終的に脱走!
母子手帳を出してついに保健師さんとの面談です。
保健師さんは積み木をいくつか出すと、息子にお手本を見せてくださいました。しかし息子は保健師さんを見ていません……。机上に置かれた積み木で遊びだしました。その後何回か説明し直しても保健師さんの指示が伝わっていない様子です。保健師さんは次の「発語」の課題に進みました。
「オイシー」「カーカー」「あった」が言えることを伝えたものの、保健師さんは微妙な反応……。「ママ・パパは言いませんか?」と聞かれてしまいました。1歳半のほとんどの子どもは「ママ・パパ」と親のことを呼ぶものなんだ……と少しショックを受けました。
指差しの話題になっても、息子は保健師さんの話を聞いていません。先ほど出してもらった積み木に夢中です。「積み木は終わりにしようか、次はこっちを見てね」と促しても一向に積み木を離しません。最終的には途中で積み木遊びを邪魔されたことに気を悪くした様子で、面談場所から脱走していきました。
発達支援教室を薦められるが……
発語が遅めなことや意思疎通が取れないということで、保健師さんから自治体が運営する未就園児向けの発達支援教室を面談後に紹介されました。週1回集団遊びや親子遊びを通じて、発達が気になる子どもの成長を促すものです。(※発達支援教室等の支援内容や利用条件は自治体によって異なります)。
多動だったり言葉が遅めの息子。
「支援教室で発達に詳しい専門の方たちや、同じ年くらいの子どもたちと過ごせば言葉が増えるかも!私も、そんな息子との関わり方を学べるかも!!」と、瞬時に参加することを決めましたが、その後の保健師さんの言葉に絶望しました。
「妹さんが生まれたばかりとおっしゃっていたのですが、預け先はありますか?きょうだいの同伴はできないんです」
実家・義実家・そのほか親戚全てが遠方のわが家は発達支援教室に参加できず、息子の発達については『様子見』ということで、保健師さんとの面談は終わりました。
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暴れる歯科健診
発達支援教室に参加できず、失意の中での歯科健診でした。「歯科健診は多分なんともなくクリアできるだろう、ただしじっとしていれば」不安材料はあるものの、保健師さんとの面談に比べたら気持ちが楽です。
息子の順番が来て先生の膝に頭を、対面した私の膝にお尻をのせて診察開始です。おとなしく先生の膝に寝転んだ息子でしたが、口の中に器具を入れるや否や先生にキックをしそうになりました!
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先生は慣れているのかうまく避けてくださりましたが、次に息子は私が固定している足をバタつかせ逃げようとします。「息子は歯磨きのときもいつもこんな感じで暴れるんです……!」と謝り、最終的に歯科衛生士さんにもサポートしてもらいなんとか健診を終えることができました。
5歳になった今でも息子は歯磨きに抵抗があるので、口内が敏感なのかもしれません。
今思えばあの暴れようが少しは理解できます。
その後、5歳になった息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医からグレーゾーンと言われることになるのですが……そのお話はまた次回以降に書きたいと思います。
執筆/ネコ山
(監修:室伏先生より)
1歳半健診の頃の息子さんのご様子とネコ山さんのお気持ちを具体的に共有していただき、ありがとうございました。
不安と戸惑いの中での健診、大変でしたね。発達に課題をもつお子さんの徴候は、1歳~2歳頃に顕在化してくることが多いように思います(この時期に徴候が分かりにくいお子さんもいらっしゃいます)。
発達障害のお子さんは、単に発達が遅れるというものではなく、発達の進む順番や質が異なっています。発達の遅れを示す用語としては、「発達遅滞」があり(言語発達が遅れていれば言語発達遅滞、運動発達が遅れていれば運動発達遅滞となります)、発達障害のお子さんで発達遅滞も併せ持つ場合もありますが、発達障害と発達遅滞は言葉の意味としては異なります。
例えば、自閉スペクトラム症の特性があるお子さんは、話し言葉はゆっくりなのに、数字や文字を読むことの習得がとても早い場合もあります。
これは、興味の方向が、コミュニケーションツールとしての言葉ではなく、記号としての文字・数字に向かっていると推測されます。大人もそうですが、子どもは自分の興味のあることに対しては、絶大な記憶力や集中力を発揮するわけです。
自閉スペクトラム症の特性の一つとして、言葉やアイコンタクト、ジェスチャーなどのコミュニケーションに対する興味が薄かったり、興味はあっても相手にとって心地よい、距離の維持や関わり方が難しいといったことがあります。
せっかくの発達支援教室も、妹さんがいらっしゃると通えないというのは、とても辛い制限でしたね。こういったことを共有してくださることで、今後の課題が明確になり、支援を受けやすい社会に変わっていくことを願います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。