ワンオペ育児で産後うつ。寝ない、食べない、成長曲線から外れた息子、発達検査では…【読者体験談】
発達の遅い息子をワンオペ育児していた私。のちに産後うつに……
現在中学1年生の息子は、7歳の時に自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けました。
息子は乳幼児期から発達の遅れが目立ちました。
まとまって寝ない、抱っこを海老反りして拒否する、両親やほかの人がいても気にならないのかコミュニケーションを一切とらない……など、さまざまな問題がありました。おとなしいけれど、育てづらい……そんな印象です。
この時期、私はワンオペ育児で心身ともに疲弊しており、のちに産後うつと診断されました。
当時はどんどん感情が麻痺していく中、息子はこのままで大丈夫なのか、どうすればいいのかといろいろな支援施設を訪ねる日々でした。
Upload By ユーザー体験談
生後半年頃から成長曲線から外れ発育相談へ。「体重を増やせ」と言われるも、離乳食を食べてくれない息子
Upload By ユーザー体験談
生後半年頃からでしょうか。身長や体重が成長曲線に沿って増加しなくなりました。
発達もおすわりまでは順調でしたが、はいはいから少しずつ遅れていき、1歳になっても立たず、喃語も出ません。「ちょうだい」「どうぞ」などというやりとりもできず、体の成長とコミュニケーションの発達に遅れが出ているのではと感じていました。
そんな中、一番気になっていたのは離乳食が進まないこと。1歳になっても7ヶ月目くらいの食事しかとらず、手づかみ食べもなし。親がスプーンで運んだものしか食べませんでした。
心配になった私は、まずは近くの公民館の発育相談に行きました。主に、体重や身長が増加しないこと、離乳食が進まないことを相談しました。その次は保健センターの発育相談に行き、同様のことを説明。
最終的には保健所の発育相談にも行きました。
どこに行っても言われたのは「とにかく体重を増やすこと」でした。
これは私が頑張らなければいけないと、必死で離乳食作りをしましたが、本人は食への興味が無いようでなかなか進みません。いくら時間をかけて作っても、全然食べてくれないこともありました……。私は心も体もどんどん追い詰められていきました。
1歳半健診より前にやることになった発達検査
Upload By ユーザー体験談
当時、私は定期的に保健師さんの訪問を受けていました。公民館、保健センター、保健所などで相談したことを話したところ、その保健師さんから離乳食だけでなく発達の遅れが気になるとの指摘を受けました。離乳食の遅れも、発達が関係していることかもしれないと言われた私は、1歳半健診が間近に迫っていたものの、それより少しでも早く発達が専門の支援員さんに息子を見てもらいたいと、保健センターを受診。
そしてそこで『発達が半年ほど遅れている』ことが分かったのです。
発達や発育の遅れを指摘されても、このときの私は悲しいとか悔しいとかそういう感情がわいてきませんでした。やっぱりそうなんだというくらい。すでに感情が麻痺してしまっていたのだと思います。
発達検査の後に受けた1歳半健診では……
ほかの子より半年遅れていると分かったことで、私は覚悟しました。1歳半健診でほかの子をみたら、息子との違いにびっくりするだろうことを……。
実際に健診に行ったら、ほかのお子さんは元気に歩き回ったり、お友達と仲よさそうに遊んでいたり、自分の水筒を自分で持っていたり……。なにより、何らかのおしゃべりをしていたので、そのすべてができない息子と比べると、まるで別の世界にいるようでした。
本当に別の世界の出来事……、周りのお子さんとの違いに、もはやショックを受ける気力すらありませんでした。
Upload By ユーザー体験談
そして受けた1歳半健診は、すでに発達の遅れを指摘されていてフォローアップが済んでいるということで、淡々と終わりました。
いろいろな方の支えてもらい育児をしている……そんな状況が私を前に向かせてくれるように
その後の私は、いろいろな方から受けたアドバイスを実行するだけで精一杯。発達支援につながり、教えてもらったアドバイスを実行したりさまざまなことをやりました。ただ、それまでワンオペでしたが、ほかの方と一緒に息子を育ててもらっている……という気持ちが私を慰めてくれました。
今、子どもは2歳過ぎまで話をしなかったのが嘘のようによく話をします。ただ、今もコミュニケーションの発達には難があります。これから先も社会にどのように関わっていけるのかは未知数です。
これからも息子が少しでも社会に関わっていけるように、いろいろな方の支えを受けながら、育児を頑張りたいと思います。
イラスト/吉田いらこ
エピソード参考/ころぼっくる
(監修:鈴木先生より)
母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過していることが多いのが現実です。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。
今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。