【親なきあと準備ガイド】障害のある子どもの将来設計。進路・就労・お金…専門家と考える、自立への道すじ
この記事で分かること
- お子さんの将来の選択肢を広げるために、学齢期から始められる準備
- 特別支援学校や通信制高校など、お子さんの特性に合わせた中学卒業後の多様な進路選択
- 就労移行支援や障害者雇用、福祉的就労といった、18歳以降のさまざまな働き方と、お子さんを支える公的な支援サービスの違い
- 「親なきあと」に備えて知っておきたい、障害者年金や財産管理といった、暮らしとお金に関する具体的な準備
「わが子の将来はどうなるんだろう……」障害のあるお子さんの成長とともに、多くの方が「親なきあと」への不安を感じていると思います。
このコラムでは、中学卒業後の進路選択から、就労移行支援や障害者雇用といった18歳以降の多様な支援・働き方、そして障害者手帳や年金、口座の管理といった暮らしとお金の備えまで、親なきあと相談室の渡部伸先生監修のもと、今から知っておきたい情報をまとめました。漠然とした不安を具体的な準備に変えることで、お子さんの可能性はさらに広がるはずです。未来の選択肢を増やすためのヒントを見つけてみませんか。
学齢期のうちに確認したいこと、働き方の基礎知識、中学卒業後の進路など気になるテーマが満載!親なきあと相談室・渡部伸先生と発達ナビ編集長対談
お子さんの将来の選択肢を広げるため、学齢期のうちにできる準備をご存知ですか?
この記事では、
- 障害者手帳の取得
- 本人名義の銀行口座の開設
- 主治医を見つけておくこと
「この子は将来、どんな働き方が合うのだろう……」お子さんの未来を思うとき、漠然とした不安を感じていませんか。
障害のある方の働き方には、
会社で働く「一般就労」「障害者雇用」手厚い支援を受けながら活動する「福祉的就労」など、たくさんの選択肢があります。
この記事では、親なきあと相談室の渡部伸先生が、
- それぞれの働き方の違い
- 就労に向けた準備の進め方
発達障害グレーゾーンのお子さんの中学卒業後の進路選択に、悩んでいる保護者の方も多くいると思います。
気になる
- 特別支援学校
- 通信制高校
さらに、
- 不登校
- ひきこもり
お子さんの特性に合った道を見つけるためには、早めの情報収集が鍵となります。この記事を読んで、将来の選択肢を広げる一歩を踏み出してみませんか。
18歳以降の支援・働き方って?今から備えておいたほうがいいことは?障害者手帳のメリットは?
18歳からの「働く」を支える公的な支援には、
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
「就労移行支援」は就職を目指して訓練を積み、「就労継続支援A型・B型」は配慮ある環境で働くことができます。お子さんの状況や希望に応じて、多様な道筋が用意されています。複雑にみえる制度ですが、それぞれの役割と特徴を掴んでおけば、お子さんの将来をより具体的にイメージする助けになるはずです。未来への備えとなる大切な知識をご紹介します。
お子さんの将来のために「今からできる備え」は、意外とたくさんあるものです。
- 障害者手帳
- 年金
- 本人名義の口座
- 共済制度
一つひとつは小さな一歩かもしれませんが、早めに始めることで、未来の安心は大きく育ちます。
お子さんとご自身のこれからを考える、その最初の一歩を踏み出してみませんか?
障害者手帳の取得を考えたとき、「どんな良いことがあるの?」「何かデメリットは?」といった疑問が浮かぶかもしれません。
手帳を持つことで受けられる
- 医療費の助成
- 各種割引
- 障害者雇用という働き方の選択肢
取得するかどうかは、ご家庭それぞれの判断ですが、お子さんとご家族にとって一番良い選択をするための、大切な情報をお届けします。
就労移行支援、障害者雇用……息子にはどんな道がいいの?18歳の壁のリアルな悩みに渡部先生がコメント
- 息子は働けるようになるの?
- 卒業後、自宅で過ごすことになってしまうのでは……
- 企業や事業所を選ぶ判断基準が分からない
「就労移行支援」という選択肢が、どのように未来への扉を開いてくれたのか。同じように悩む保護者の方にとって、きっと大きな勇気とヒントになる物語をお届けします。
特別支援学校で「就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型を目指すクラス」に所属していた立石さんの息子さん。
学校での企業実習は以下のような意味合いがありました。
- 2年生の実習:「社会体験」が目的。採用を前提としていない
- 3年生の実習:「能力の確認の場」。企業が採用を判断するための本格的な評価
実習に励む息子さんの姿を見て、一般就労への期待を膨らませましたが、現実は甘くはありませんでした。うまくいかない現実に直面したとき、親子にとって本当に大切なことは何なのか。世間体ではなく、わが子の幸せを一番に考えた進路選択の道のりを描く、共感の体験談です。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。