愛あるセレクトをしたいママのみかた

「じっとしているのに怒られる!」学校行事のストレスで荒れ、家は魔境に…追い詰められた家族の選択は【読者体験談】

LITALICO発達ナビ

この記事で分かること


  • お子さんが「なぜ叱られているか」を理解できず、ストレスが溜まって自宅での癇癪(かんしゃく)などにつながってしまう背景
  • お子さんのストレスが、家族全体に影響を及ぼしてしまった経験と、当時の心の状態
  • 「学校行事に参加しない」という選択肢が、お子さん本人と家族の心を守る一つの大切な方法であること
  • 「皆と同じ」を目指すのではなく、お子さんの意思と特性に合った学びのスタイルを尊重することの大切さ


じっとしている「つもり」なのに。繰り返される学校での叱責


私の息子は現在高校2年生。このエピソードは、息子が小学3年生から4年生にかけて、通常学級に在籍していた頃の出来事です。普段は穏やかで元気な子ですが、多動、衝動性が強く、ストレスがかかると激しい癇癪を起こすこともありました。そんな息子にとって、学校行事は非常に難易度の高いイベントでした。

先生方が「全員、静止!」と指示を出す瞬間、息子は静止できません。運動会の出待ちでは、しゃがんで待っている間に土いじりをしたり、靴を脱いだり履いたり。学芸会で座って待機する間は、体をユラユラ揺らし、幕を引っ張るようなモジモジした動きが見られました。体をどこか動かしていないと、落ち着かない様子だったのです。


「じっとしているのに怒られる!」学校行事のストレスで荒れ、家は魔境に…追い詰められた家族の選択は【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

もちろん、担任の先生には息子の発達特性を伝えていました。それでも、行事が始まると、息子の行動は悪目立ちし、ほかの保護者からの視線を感じて親である私たちはとても肩身の狭い思いをしました。しかし、一番つらかったのは息子自身でした。

なぜ動いちゃいけないの?叱責が引き起こした自宅での“大嵐”


先生方から注意されている時、息子はぼんやりしていることが多かったそうです。その理由は「なぜ注意されるのか」が全く理解できていなかったから。息子はよく言いました。

「僕はジッとしているのに、先生から『動いちゃ駄目!』って、いつも怒られるんだよ」

なんと息子は自分が動いている自覚がなかったのです。無意識に動いてしまった息子はときには舞台から降ろされ、体育館から外に出るように指導されたこともあったそうです。
何が問題なのか理解できないまま叱られ続けた息子は、かなりのストレスを溜めていきました。そのストレスは、自宅で癇癪という形で爆発しました。食後のちょっとした注意や、翌日の準備を促すといった些細なことをきっかけに、息子の導火線は短くなり、すぐに癇癪に直結しました。自宅では大声を出して暴れ、その声でご近所から児童相談所に通報されたこともあります。

癇癪は数時間にわたることもあり、家族みんながただ息子がおさまるのを待ち続ける日々がつづきました。行事の多い秋の時期は荒れ放題で、わが家はまるで「魔境」のようになっていました。あの張り詰めたような空気の中、家族みんながストレスをためながら過ごし、私は「この嵐は、いつまで続くのだろうか」と、出口の見えないトンネルの中にいるようでした。

娘もパニック障害に。家族のSOSを救った「参加しない」という選択肢


息子が行事のストレスで癇癪を起こす日々が続く中で、同じく行事が苦手な娘がパニック障害を起こし、自傷行為が見られるようになりました。
子どもたち二人が荒れ始めると手がつけられず、私は心身ともにつらい日々を送っていました。子どもたちが自宅にいない日中が、私の心の唯一の休まる時間帯でした。

この経験を通して、私は「学校の行事ってうちの子たちにとって必要なのかな」と、その存在意義そのものに疑問を抱くようになりました。息子の特性は担任の先生に伝えていましたが、先生方の「保護者が観覧する際に立派に見えるように完成させなければならない」という使命感も感じました。だからこそ、落ち着きのない息子への叱責が頻繁にあったのだろうと思います。

しかし、息子は叱責されればされるほどストレスをため、自宅で暴れて、家族全員が追い詰められていきました。もし、あの時、学校側に「叱責→息子へのストレス」になることへの配慮があったなら。あるいは、「どうしても息子が落ち着かなければ、静かにそっと、体育館外に出してもらう」という対応ができていたなら。
発達特性がある子どもたちには、「行事に参加するか否かの選択肢」があってもいいのではないかと、私は強く思うようになりました。

行事に参加することが心の不調につながってしまうこと、それにより家の中で荒れてしまうことは子ども自身にとってもつらいことだと思います。苦手な行事で学びを深めるよりも、得意なことを伸ばし、不得意を緩和させる指導方法のほうが、息子には適切だと感じました。

高校生になった息子が見つけた。自分に合った学びのスタイル


あれから時が経ち、息子は現在、高校2年生になりました。じっとしていられないという傾向は、今でも残っています。あの頃の私たちが求めていたのは、息子が「皆と同じようにできる」ことではなく、「息子自身の心と家族の心が守られる」ことでした。私たちは、息子に「子どもにも行事に参加するか否かの選ぶ権利があってもいいのではないか」という考えに基づき 、子どもの意思を尊重し、決定権を持たせることを大切にするようになりました。

苦手な行事を無理に乗り越えようとせず、自分にとって本当に必要な学びを見つめ直す。
この道のりを選んだことで、息子は本来持っていた穏やかさや元気さを取り戻し、自分に合ったペースで学校生活を送れるようになりました。

「じっとしているのに怒られる!」学校行事のストレスで荒れ、家は魔境に…追い詰められた家族の選択は【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

発達に特性のあるお子さんたちは、得意なことと苦手なことに凸凹がある場合が多いです。苦手な行事に参加しない選択を許容することで、息子は得意なことや興味のある分野にエネルギーを注げるようになり、自分らしい学びのスタイルを確立しています。あの嵐のような日々を乗り越えた私たちは、今、未来への確かな希望を抱いています。

「皆と同じ」じゃなくていい。子どもの「選択権」を尊重する社会に


学校行事が続く時期、自宅が「魔境」と化していた日々は、私たち家族にとって忘れることのできない経験です。そして、その経験から、私は「子どもの選択権も大切にする社会であってほしい」と強く願うようになりました。

今同じように行事のたびに親子でつらい思いをされている方がいらっしゃるかもしれません。私は「皆と同じようにできなくてもいい」と考えることで自分自身と子どもの心を守る選択をしました。
それが本当に正しいことなのかはそれぞれのご家庭や環境で違ってくると思います。しかし、わが家の場合はそう思えた時から、少しずつ穏やかな時間が戻ってきました。子どもたちの意志を尊重し、寄り添うことで、必ずその子らしい成長の道が開けると信じています。

イラスト/ネコ山
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:藤井先生より)
子どもの「選択権」を尊重する社会、大切にしたいですよね。自分の思いや考えを言葉にできるお子さんであれば、言葉で確認できることもありますが、私たち大人でも自分の気持ちを言葉に出すことが難しいことはあります。お子さんの様子から、「本人にとって負担になっていないかな」と周囲の大人が気づくことも多いものです。例えば、運動会の練習が始まったら学校を行き渋るようになったり、音楽会の練習があった日は帰宅後に癇癪が強まるなど、言葉には出なくても行動を通してサインが見えることがあります。
そうしたサインを手がかりに、練習の一部を参加する、本番は一部参加する、見学する、あるいは欠席するなど、その子にとって無理のない形を一緒に考えられると良いですね。少しでも社会とのつながりを保ちながら、お子さん自身が過剰な負担なく安心していられる居場所を作っていくーーそんな工夫を続けていくことが大切だと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード