【新連載】「目が合う・指さしする」のに自閉症傾向?1歳半健診で指摘された娘の癇癪・偏食と、5歳までの成長記録【専門家解説も】
特に大きな困りごとのなかった0~1歳頃
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娘は1歳頃まではよく寝てよくミルクも飲み、特に発達に困っている点はありませんでした。生後3か月頃には首も座り、6か月頃にハイハイをしだしたので、むしろ発達は早いほうだと思っていました。しかしハイハイを覚えてからは、あまりにも活発に動き回るので追いかけまわすのも一苦労。少しでも体力を消耗させようと毎日畳のある大きな児童館に連れて行っていたほどです。
この頃の大きな困りごとと言えば離乳食がなかなか進まなかったことでしょうか。娘は1歳近くになっても10倍粥からなかなか進めず、少しでもご飯の粒が残っていると舌でベッと押し出し、ほかの食べ物もなかなか受け付けませんでした。離乳食が終わってからも、白いご飯やパン以外のものはなかなか口にしようとせず苦労しました。
5歳になった今でも、食べられるものは徐々に増えてきましたが、肉や魚などはまったく食べられず、食べられないものよりも食べられるものを数えたほうが多く、娘の偏食には悩まされています。
癇癪や多動の酷かった1歳半~3歳頃
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1歳頃までは順調に生育していると思っていた娘でしたが、1歳半健診で激しい癇癪を起こして何もできずに引っかかり、2歳頃から療育(児童発達支援)に通うことにしました。
しかしこの頃はASD(自閉スペクトラム症)の特徴としてネットで見た「目が合わない」「指さしをしない」「言葉が出ない」などの特徴に当てはまらず、「ただのイヤイヤ期」「自我が強いだけ」と周囲に言われたこともあり、娘がASD(自閉スペクトラム症)だとは思っていませんでした。ASD(自閉スペクトラム症)をテーマにした漫画も読みましたが、知的障害の重い子が主人公のものが多く「娘とは全然違うな」と思っていました。
しかしすぐに泣きわめいて癇癪を起こす、切り替えが悪くなかなか公園から帰れない、スーパーなどで走り出してしまい手をつなげないなどの特性があり毎日疲弊していました。また私自身も片づけが苦手で忘れ物も多かったので「ひょっとするとこれはADHD(注意欠如多動症)の特性なのかもしれない」と思い2歳過ぎから市の発達支援センターに相談し、療育につながることができました。その際に「ASD(自閉スペクトラム症)傾向がある」と言われ驚きましたが、今では2~3歳頃ごろに悩んでいた多動はほぼなくなりました。しかし、今度は口数こそ多いものの会話のキャッチボールがうまくできないことが気になりだし、「やはりうちの子はASD(自閉スペクトラム症)の特性があるのだな」と納得しています。
幼稚園に入園するのも一苦労
集団療育に通い出してから徐々に椅子に座って活動をしたりほかの子と遊んだりするのに慣れてきた娘でしたが、いざ幼稚園に入園しようとすると「療育に通っている」「発達特性がある」というだけで娘の様子を見ることもなく電話口で見学を断られることも何度もありました。
そんな時、今通っている園へ見学に行くと、実際に娘の様子を見てくれた上で「この子には集団でやっていく力があると思う」と言ってくださり無事入園することができました。
園に入園してからの娘の成長
今の園に無事入園できてからも、年少のうちは園の行事で保護者がたくさん来たことに驚いて泣き叫び、園長室で園長先生と二人で過ごすこともありました。
スプーンや箸が持てない、ボタンやファスナーの開閉ができないなどほかの子と比べて不器用でできないことも多かったです。しかし4、5歳と成長するにつれ徐々に癇癪も少なくなり、園での生活にも慣れ、困りごとも減ってきました。今ではほとんど加配なしで過ごしています。
年長の運動会で見せた成長
園での生活には慣れてきた娘でしたが、手先の不器用さや運動ではまだまだ不安なことも多く、特に運動会では走るのが遅いのでほかの子の足を引っ張るのではないかと心配していました。
しかし年長の運動会では、なんと自ら開会式の挨拶に立候補。本番で開会宣言を立派にやりとげる姿を見て感動しました。
これまでは、ほかの子よりも声が大きいせいで、癇癪を起こすと声が響き目立ってしまったり、静かにしなくてはいけない場面でも大きな声で話してしまったりすることが悩みでしたが、その大きな声を生かして堂々と挨拶をしている姿を見て成長を感じました。
まだまだ苦手なことも多く不安も多いですが、これからも成長をしっかりと見守っていきたいと思います。
執筆/えなめる
(監修:室伏先生より)
えなめるさん、娘さんの成長の過程を丁寧に共有してくださり、ありがとうございます。試行錯誤を重ねながら娘さんと向き合ってこられた日々は、同じように悩む保護者にとっても大きな共感と励ましになるものだと思います。
ASD(自閉スペクトラム症)と一言で言っても、困りごとや特性の現れ方は本当にさまざまです。同じ診断名であっても、その姿は一人ひとり大きく異なります。
ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんの中には、1歳頃までは発達上の困りごとがあまり目立たないというケースも少なくありません。乳児期は社会的なやりとりへの要求がまだ低いため、特性が表に出にくい時期でもあります。
偏食については、触覚や口腔内感覚の過敏性が関係していることが多く、食べ物の粒感や特定の舌触りなどに強い違和感を覚える場合があります。味覚の過敏性や鈍麻が関係していることも多いとされています。味の濃さや苦味・酸味に強く反応する場合や、逆に味を感じにくく、特定の強い味だけを好むこともあります。ただし、このような感覚の偏りはASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんに多く見られる傾向がある一方で、「偏食があるからASD(自閉スペクトラム症)」「偏食がないからASD(自閉スペクトラム症)ではない」と単純に判断できるものではありません。ASD(自閉スペクトラム症)でなくても、感覚の過敏さから強い偏食に悩むお子さんもいます。
ASD(自閉スペクトラム症)の中核特性として「相互性の障害」「コミュニケーションの障害」が挙げられますが、よく知られている「目が合わない」「指さしをしない」「言葉が出ない」といった特徴がすべての項目でそろって現れるとは限りません。目が合い、言葉も出ているけれど、会話のキャッチボールが難しい、相手の気持ちを汲むことが苦手、といった形で特性が現れることもあります。
また、ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんの中には、多動的な様子が見られる場合もあります。
これは必ずしもADHD(注意欠如多動症)を併存しているとは限らず、感覚刺激に対する過敏さ、環境の変化への不安、見通しが立たない状況での緊張などから、落ち着きのなさとして表出することがあります。成長や環境調整、経験の積み重ねによって、こうした多動が次第に落ち着いていくお子さんも多く見られます。それぞれのお子さんの困りごと、そしてその原因を理解し、環境や関わり方を調整していくことで、困りごとが軽減し、その子の力が発揮されやすくなることもしばしば経験されます。ASD(自閉スペクトラム症)の特性は「克服しなければならないもの」ではなく、「理解しながら、その子なりのペースで付き合っていくもの」であり、その積み重ねが子どもの安心感や、少しずつの成長につながっていきます。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。