未読400件に長文投稿…13歳・ASDグレーゾーン息子のスマホ事情と、グループチャット退会で見つけた「自分に合う」距離感【読者体験談】
お子さんのプロフィール
小学校卒業を機にスマートフォンを持たせたわが家
スマートフォンを渡すとき、わが家ではいくつかルールを決めました。
使用時間は、まずは1日30分まで。それ以外の時間は、リビングの親から見える場所にある充電スペースに置くこと。パスワードは親にも共有すること。
息子は、そのルールを素直に守ってくれました。スマートフォンをずっと触っているような様子もなく、「案外大丈夫かもしれない」と安心していました。
ただ、以前、年上のお子さんを育てているママ友から「子どものSNSは、最初のうちは見ておいたほうがいいよ。思った以上にトラブルがあるから」とアドバイスを受けていました。
子どものスマートフォンを見ることには、私自身迷いもありました。どこまで見るのがいいのか。本人のプライバシーをどう考えるのか。夫とも話し合いました。
そのうえで、スマートフォンを持ち始めたばかりの時期だけは、使い方を確認しながら見守ろうということになりました。
小学校卒業後、同じ学年の子どもたちのグループチャットができていました。
息子は私立中学に進学することになっていたので、チャット上は離れてしまう友だちとつながれる場所でもあります。私も最初は、よかったと思っていました。
ところが、実際にやりとりを見てみると、想像していたものとは少し違っていました。
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誰かがグループに入ったり、出たり、また戻ってきたり。子ども同士の言い合いのようなやりとりもあり、名指しで強い言葉が飛び交うこともありました。
もちろん、子ども同士の間では冗談のつもりだったのかもしれません。普段の関係性や、その場の空気が分からない親には、判断しにくい部分もありました。
それでも、スタンプが何度も連続で送られ、未読が400件以上になっていること、さらに、親としては見過ごせないような、年齢に合わない画像が上がっていることもあり、私はかなり驚きました。卒業式では、みんなとても立派に見えました。その子どもたちが、スマートフォンの中ではこんなやりとりをしているのか……と衝撃でした。
そして、もう1つ気になったのが、息子自身の発言でした。
息子はもともと、好きなことになると一方的に話し続けてしまうことがあります。ASD(自閉スペクトラム症)傾向があると言われており、会話の中で相手の反応を見ながら話題を調整することは、あまり得意ではありません。
グループチャットの中でも、自分の好きなマンガについて長文で一気に書き込んでいました。すると、ほかのお子さんから「やめろ」と言われたり、ここには書きにくいような強い言葉を返されたりしていました。
それは一度だけではありませんでした。
対面であれば、相手の表情や声のトーンで「もうやめたほうがいいかな」と気づけることもあるかもしれません。でも、スマートフォン上のやりとりでは、一気に自分の好きなことを書き込んでそれを送信するだけ。
息子に悪気はないのだと思います。けれど、空気を読まない長文投稿に対する非難の言葉、グループのスピードや空気に合わせることは、息子にはかなり難しそうに見えました。
その後、夫と何度か話し合いました。
グループチャットの中には、息子にとって意味のある会話があまりないように見えました。むしろ、乱暴なやりとりや、通知の多さ、親として不安になる内容が目立っていました。
もちろん、グループにいること自体が悪いわけではありません。子どもたちにとっては、ただの遊びや雑談の延長だったのかもしれません。
でも、息子にとってはどうなのだろう。
このまま続けることで、息子が楽しい気持ちになるのだろうか。
それとも、知らないうちに疲れたり、傷ついたりしてしまうのではないか。
そう考えたとき、一度グループを抜けてもいいのではないかという話になりました。
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グループを退会することについて、息子に話してみました。親が思っている以上に嫌がるかもしれない。友だちとのつながりが切れると感じて、落ち込むかもしれないとドキドキしていたのですが、息子の反応はとてもあっさりしていました。
「分かった」
そう言ったあと、息子はこんなことを話してくれました。
「どうやってやればいいか分からなかったし、通知がいっぱい来るのも嫌だった」
「中身もあんまり意味ないから、いいよ」
「連絡を取りたい子だけとつながっていればいい」
その言葉を聞いて、私は少し拍子抜けしました。
親の私は、「せっかく友だちとつながれる場所だから」と思っていました。でも、息子自身は、そのグループにそれほど居心地のよさを感じていなかったのかもしれません。
スマートフォンでのつながり方にも「合う・合わない」があると気づいて
その後、ほかのお子さんたちもしていたように、特別なメッセージは送らず、息子はグループを退会しました。
何か大きなトラブルが起きることはありませんでした。
小学校の友だちとは、今も個別に連絡を取ることがあります。ただ、その頻度はときどき。毎日やりとりするわけではありません。
個別のやりとりであれば、お互いのペースで返信できます。息子も、グループのような大人数のスピードに巻き込まれることなく、落ち着いて使えているように見えます。
その後、進学した中学校でもグループチャットができました。
私は少し身構えていましたが、中学校のグループは小学校のときとはずいぶん雰囲気が違いました。誰も発言しない日も多く、必要な連絡があるときだけ動くような、あっさりしたやりとりでした。
グループチャットといっても、メンバーや目的によって、雰囲気は全然違う。「グループチャットは危ない」と一括りにするのではなく、その場の空気や、本人に合っているかどうかを見ることが大事なのだと思いました。
スマートフォンを持つことで、子どもの世界は親の見えないところにも広がっていきます。
親がすべてを見ることはできませんし、いつまでもすべてを管理することもできません。本人に任せていく部分も、少しずつ増やしていく必要があるのだと思います。
ただ、スマートフォンを持ち始めたばかりの時期は、子ども自身も使い方や距離の取り方がまだ分からないことがあります。特に息子のように、相手の反応を読むことや、場の空気に合わせることが苦手な子にとっては、グループチャットのスピードや言葉の強さは、大きな負担になることもあるのだと感じました。わが家では、しばらくは完全に任せきりにするのではなく、息子の様子を見ながら、必要なときに一緒に考える形を続けていこうと思っています。
イラスト/志士ノまる
エピソード参考/アリ
中学生になった息子さんのスマートフォンやグループチャットとの付き合い方に関する体験談をありがとうございます。
スマートフォンを購入するにあたって、利用のルールを事前に決めてから使用し始めることができたのがよかったです。まずはお子さんがどうスマートフォンと付き合うかを見てみないとという面もあられたのでしょう。パスワードを共有することも含んでおき、状況を見て、利用のルールを厳しくする(あるいは緩くする)ことを考慮していく余地を持ってらっしゃるように感じます。
さて、グループチャットですが、相手の顔が見えないやりとりであるがゆえに、言葉がきつくなったり、悪ふざけがエスカレートしてしまったりすることもあります。X(旧Twitter)のようなSNSとは違って、メンバーが固定されたものであるがゆえに、1つの話題を共有することも多く、単に感じたこと、つぶやきたいことを書いてしまうと、批判されることもあるかもしれません。特に、卒業生グループとなると、“みんなでつながっておく”ことがグループの目的になるため、そこから外れた話題を自ら出していくのはなかなか高等スキルを要する面もある気がしました。
息子さんに関してご両親で悩んだ末に、そのグループから抜けることを打診されました。ご両親から「やめなさい」と通告するのではない方法を取られたことが思春期のお子さんの思いを尊重されていて素敵だなと感じます。本人は思いのほかあっさりとそれを受け入れたとのことですが、グループに入っていろいろやってみている中で、自分にとってあまり“しっくりこない”感じがあったのでしょう。やりとりを続けたい人と個別にやりとりをすればいいと感じたのも大事なことだと思います。中学の仲間たちとのグループは現在進行形の付き合いでもあり、大人からすると節度あるやりとりだったのもよかったですね。スマートフォンの使い方やグループチャットなどでの困ったことを親子で必要な際に話し合えるその関係を築いておくこと。それが今回とても活きたエピソードだと感じました。(監修:臨床心理士・公認心理師初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
- 年齢:13歳
- 診断名:なし、ASD(自閉スペクトラム症)グレーゾーン
- エピソード当時の年齢:13歳(小学6年生~中学1年生)
小学校卒業を機にスマートフォンを持たせたわが家
スマートフォンを渡すとき、わが家ではいくつかルールを決めました。
使用時間は、まずは1日30分まで。それ以外の時間は、リビングの親から見える場所にある充電スペースに置くこと。パスワードは親にも共有すること。
息子は、そのルールを素直に守ってくれました。スマートフォンをずっと触っているような様子もなく、「案外大丈夫かもしれない」と安心していました。
ただ、以前、年上のお子さんを育てているママ友から「子どものSNSは、最初のうちは見ておいたほうがいいよ。思った以上にトラブルがあるから」とアドバイスを受けていました。
子どものスマートフォンを見ることには、私自身迷いもありました。どこまで見るのがいいのか。本人のプライバシーをどう考えるのか。夫とも話し合いました。
そのうえで、スマートフォンを持ち始めたばかりの時期だけは、使い方を確認しながら見守ろうということになりました。
小学校のグループチャットで見えた、親の知らない友だち関係
小学校卒業後、同じ学年の子どもたちのグループチャットができていました。
息子は私立中学に進学することになっていたので、チャット上は離れてしまう友だちとつながれる場所でもあります。私も最初は、よかったと思っていました。
ところが、実際にやりとりを見てみると、想像していたものとは少し違っていました。
Upload By ユーザー体験談
誰かがグループに入ったり、出たり、また戻ってきたり。子ども同士の言い合いのようなやりとりもあり、名指しで強い言葉が飛び交うこともありました。
もちろん、子ども同士の間では冗談のつもりだったのかもしれません。普段の関係性や、その場の空気が分からない親には、判断しにくい部分もありました。
それでも、スタンプが何度も連続で送られ、未読が400件以上になっていること、さらに、親としては見過ごせないような、年齢に合わない画像が上がっていることもあり、私はかなり驚きました。卒業式では、みんなとても立派に見えました。その子どもたちが、スマートフォンの中ではこんなやりとりをしているのか……と衝撃でした。
長文投稿、強い言葉……息子には難しかったグループの空気
そして、もう1つ気になったのが、息子自身の発言でした。
息子はもともと、好きなことになると一方的に話し続けてしまうことがあります。ASD(自閉スペクトラム症)傾向があると言われており、会話の中で相手の反応を見ながら話題を調整することは、あまり得意ではありません。
グループチャットの中でも、自分の好きなマンガについて長文で一気に書き込んでいました。すると、ほかのお子さんから「やめろ」と言われたり、ここには書きにくいような強い言葉を返されたりしていました。
それは一度だけではありませんでした。
対面であれば、相手の表情や声のトーンで「もうやめたほうがいいかな」と気づけることもあるかもしれません。でも、スマートフォン上のやりとりでは、一気に自分の好きなことを書き込んでそれを送信するだけ。
画面いっぱいに自分の一方的な語りが並んでしまいます。
息子に悪気はないのだと思います。けれど、空気を読まない長文投稿に対する非難の言葉、グループのスピードや空気に合わせることは、息子にはかなり難しそうに見えました。
グループ退会を提案すると、息子から返ってきた意外な言葉
その後、夫と何度か話し合いました。
グループチャットの中には、息子にとって意味のある会話があまりないように見えました。むしろ、乱暴なやりとりや、通知の多さ、親として不安になる内容が目立っていました。
もちろん、グループにいること自体が悪いわけではありません。子どもたちにとっては、ただの遊びや雑談の延長だったのかもしれません。
でも、息子にとってはどうなのだろう。
このまま続けることで、息子が楽しい気持ちになるのだろうか。
それとも、知らないうちに疲れたり、傷ついたりしてしまうのではないか。
そう考えたとき、一度グループを抜けてもいいのではないかという話になりました。
Upload By ユーザー体験談
グループを退会することについて、息子に話してみました。親が思っている以上に嫌がるかもしれない。友だちとのつながりが切れると感じて、落ち込むかもしれないとドキドキしていたのですが、息子の反応はとてもあっさりしていました。
「分かった」
そう言ったあと、息子はこんなことを話してくれました。
「どうやってやればいいか分からなかったし、通知がいっぱい来るのも嫌だった」
「中身もあんまり意味ないから、いいよ」
「連絡を取りたい子だけとつながっていればいい」
その言葉を聞いて、私は少し拍子抜けしました。
親の私は、「せっかく友だちとつながれる場所だから」と思っていました。でも、息子自身は、そのグループにそれほど居心地のよさを感じていなかったのかもしれません。
スマートフォンでのつながり方にも「合う・合わない」があると気づいて
その後、ほかのお子さんたちもしていたように、特別なメッセージは送らず、息子はグループを退会しました。
何か大きなトラブルが起きることはありませんでした。
小学校の友だちとは、今も個別に連絡を取ることがあります。ただ、その頻度はときどき。毎日やりとりするわけではありません。
個別のやりとりであれば、お互いのペースで返信できます。息子も、グループのような大人数のスピードに巻き込まれることなく、落ち着いて使えているように見えます。
その後、進学した中学校でもグループチャットができました。
私は少し身構えていましたが、中学校のグループは小学校のときとはずいぶん雰囲気が違いました。誰も発言しない日も多く、必要な連絡があるときだけ動くような、あっさりしたやりとりでした。
グループチャットといっても、メンバーや目的によって、雰囲気は全然違う。「グループチャットは危ない」と一括りにするのではなく、その場の空気や、本人に合っているかどうかを見ることが大事なのだと思いました。
スマートフォンを持つことで、子どもの世界は親の見えないところにも広がっていきます。
親がすべてを見ることはできませんし、いつまでもすべてを管理することもできません。本人に任せていく部分も、少しずつ増やしていく必要があるのだと思います。
ただ、スマートフォンを持ち始めたばかりの時期は、子ども自身も使い方や距離の取り方がまだ分からないことがあります。特に息子のように、相手の反応を読むことや、場の空気に合わせることが苦手な子にとっては、グループチャットのスピードや言葉の強さは、大きな負担になることもあるのだと感じました。わが家では、しばらくは完全に任せきりにするのではなく、息子の様子を見ながら、必要なときに一緒に考える形を続けていこうと思っています。
イラスト/志士ノまる
エピソード参考/アリ
中学生になった息子さんのスマートフォンやグループチャットとの付き合い方に関する体験談をありがとうございます。
スマートフォンを購入するにあたって、利用のルールを事前に決めてから使用し始めることができたのがよかったです。まずはお子さんがどうスマートフォンと付き合うかを見てみないとという面もあられたのでしょう。パスワードを共有することも含んでおき、状況を見て、利用のルールを厳しくする(あるいは緩くする)ことを考慮していく余地を持ってらっしゃるように感じます。
さて、グループチャットですが、相手の顔が見えないやりとりであるがゆえに、言葉がきつくなったり、悪ふざけがエスカレートしてしまったりすることもあります。X(旧Twitter)のようなSNSとは違って、メンバーが固定されたものであるがゆえに、1つの話題を共有することも多く、単に感じたこと、つぶやきたいことを書いてしまうと、批判されることもあるかもしれません。特に、卒業生グループとなると、“みんなでつながっておく”ことがグループの目的になるため、そこから外れた話題を自ら出していくのはなかなか高等スキルを要する面もある気がしました。
息子さんに関してご両親で悩んだ末に、そのグループから抜けることを打診されました。ご両親から「やめなさい」と通告するのではない方法を取られたことが思春期のお子さんの思いを尊重されていて素敵だなと感じます。本人は思いのほかあっさりとそれを受け入れたとのことですが、グループに入っていろいろやってみている中で、自分にとってあまり“しっくりこない”感じがあったのでしょう。やりとりを続けたい人と個別にやりとりをすればいいと感じたのも大事なことだと思います。中学の仲間たちとのグループは現在進行形の付き合いでもあり、大人からすると節度あるやりとりだったのもよかったですね。スマートフォンの使い方やグループチャットなどでの困ったことを親子で必要な際に話し合えるその関係を築いておくこと。それが今回とても活きたエピソードだと感じました。(監修:臨床心理士・公認心理師初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。