「いじめ問題」に直面したときのために――家庭での道徳教育は“ピグマリオン効果”を利用しよう
2018年4月から、小学校では道徳が「特別な教科」になりました。子どもたちの“心の教育”や“倫理観”は、これからますます重視され、学校だけではなく家庭や社会全体でも考えなければならない重要な問題になっていくでしょう。
今回は、なぜ道徳を学ばなければいけないのか、そして家庭でも取り入れたい道徳教育についてお話します。
なぜ今『道徳』に注目が集まるのか?
まず、道徳が教科化された背景や目的について振り返ります。
従来、小中学校では「道徳の時間」が週1回、教科外活動として設けられていました。親御さんの多くも記憶に残っているのではないでしょうか。その後、2015年には学習指導要領が一部改訂され、道徳は「特別の教科」(道徳科)になります。そして小学校は2018年から、中学校では2019年から全面実施されることが決定されたのです。
■道徳教育が重要視されるようになった理由
社会のグローバル化によって、今後ますます多種多様な文化や価値観を持った人と接する機会が増えます。お互いの違いを認めて受け入れることが求められる時代に、道徳教育は避けては通れない課題となりました。
また、急速に発展したインターネット社会において、コミュニケーションの方法や倫理観にも大きな変化や新しい価値観が発生しました。そのため、対人関係の構築の仕方も家庭内の「しつけ」だけにとどまらず、社会全体で考えなければいけない教育の問題へと変化したのです。
また、教科としての道徳教育を早急に推進していくにあたり、大きな影響を与えているのは「いじめ問題」です。従来の道徳教育では、「いじめは許されない」と発表させたり書かせたりするだけで、やや表面的な教育に終始していました。
しかしこれからは、客観的な意見を出し合うよりも、「自分だったらどうするか」と真正面から問題に向き合うことが重要であり、現実のいじめ問題に対応できる資質や能力の育成が求められるようになったのです。
■授業内容と評価基準
教科外活動から「特別の教科」になった道徳。
その授業内容はどのように変化していったのでしょうか。
学習指導要領には、「自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること」と記載されています。つまり、従来の読んだり聞いたりするインプット重視の教育から、自分の考えをアウトプットすることを重視する方向へとシフトしているのです。