子どもを「“エンジンがでかい”賢い子」にするための、親の心得
どんな親も、我が子を「できない子」にしたくはありません。そのために、親はどうすればいいのでしょうか。新著『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)が好評で、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生にアドバイスをしてもらいました。まずは、「できない子」の対極にある「賢い子」の話から伺いました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
「賢い子」とは、地頭のよさを使える子
みなさんは、「賢い子」というとどういう子どもをイメージするでしょうか?わたしは、賢い子を自動車にたとえて「エンジンがでかい」というふうにいっています。これは、いわゆる地頭がいいということです。むかしからある表現なら、「1教えられれば10わかる子」ともいえるでしょう。
では、賢い子はどうして1教えられれば10わかるのでしょう。
それは、点と点をつなげられるからです。一つひとつの知識をバラバラに理解しているのか、それとも意図的につなげて体系化する習慣があるのか。そのちがいが、賢さという点で大きな差を生みます。
たとえば、算数の掛け算と割り算を別のものとして理解している子どもは、それほど賢いとはいえません。一方、賢い子は掛け算を理解すれば必然的に割り算も理解できる。なぜなら、掛け算と割り算は同じ事象に対する観点を逆にしたものに過ぎないからです。つまり、賢い子とは、点と点をつなげ、ひとつのことから複数のことを理解しようとする子といういい方もできるでしょう。
加えていうなら、「地頭のよさを使える」ことも賢い子の特徴です。
先に、賢い子を車にたとえて「エンジンがでかい」と表現しました。ただ、車の場合はエンジンが大きければそれだけスピードも出るのですが、人間の場合、たとえ大きなエンジンを持っていても、そのエンジンをうまく使えない人もいます。
最近、兵庫県に住む9歳の子どもが、数学・算数検定の最難関である1級合格の最年少記録を更新したことが話題になりました。その子の地頭のよさは、モンスター級といっていいでしょう。ただ、どんなに頭がいい子どもでも、なにもしないまま微分や積分がわかるようになるわけではありません。その子の親がしっかりと自分の子どもを観察し、我が子が数学に向いていることに気づき、地頭のよさをきちんと使えるように数学の勉強をさせてあげた――そのことが素晴らしいのだと思います。